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#blognavi 朝再び「EXIT」サンのお手伝い。 コレといった攻め込みもなくしゅうりょ~~~。 で、眠い目をこすりながらレベルでも上げようとクエストをね・・・。 はみ出してる!はみ出してるよ! かなり頑張ったんだけど、あと40kであがるってところでギブアップ。 はあ。続きはまた今度。 カテゴリ [のらりくらり生活] - trackback- 2006年02月02日 11 27 40 アルマンシアのクエ・・・。自分でもできないよw -- ドラゴラー (2006-02-02 21 46 25) 名前 コメント #blognavi
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前の話 秋雲がお澄まし顔で椅子に座っている。私は座布団の上に胡坐をかいて白いページと右手にもった鉛筆を交互に見ていた。 「提督~まだまだー?」 楽しそうな煽り声に私は少しむっとした。 「前にも言っただろう、絵心はないんだ!五歳児に描かせた方がまだマシなレベルだぞ」 ケラケラと秋雲は笑いながら足をバタバタさせた。 「いいじゃんいいじゃん、無茶なお願いじゃないでしょー?ほらほら、手を動かす」 「…後悔しても知らないぞ」 私は諦めて鉛筆を動かした。秋雲を見ながら、チラチラと白いページに目配せする。ゆっくり、ゆっくりと黒い線が描かれていったが―――――これは宇宙生物か何かだろうか?秋雲のように上手く描けるとは思わないが、もう少しまともに描けないのか、と自分自身に落胆する。秋雲は椅子から立ち上がって私に近寄った。スケッチブックに顔を覗かせてすぐに「プッ!」と噴出した。 「ちょっと提督~秋雲さん全然かわいくないんですけどぉー!」 大袈裟に笑いながら畳の上を腹を抱えて転がった。憎たらしいその行動にふつふつと怒りがこみあげてきた。 「……もうやってられるか。終わりだ、終わり」 私はバンッとスケッチブックを閉じてそっぽを向いた。ドタドタとした音がピタリと止んですぐに右肩に重みを感じた。 「まぁまぁ~じゃあさ、秋雲さんが提督に絵を描くコツを教えてあげるね~」 「……コツ?宇宙生物をミミズにする方法か?」 アッハッハ!とまた高い笑い声が響いた。バンバンっと強く右肩を叩かれる。少し痛い。 「あのねぇ提督ー 対象を見ながら触ったらジョーズに描けんだよー」 秋雲は私の手を取ると自身の顔へくっつけた。初めて触れた秋雲の頬は決して冷たくなかった。体温があった。私は指を少し動かした。ふにふにと、頬の弾力を指の腹に感じた。秋雲はくすぐったそうに笑った。 「もっと触ってもいいよー」 私は手を動かして顎の下をなぞった。男のそれとは違い柔らかくて滑らかで細い。それから首の後ろへと指をゆっくり移動させた。親指で耳たぶを何度か押したり引いたりして、親指と人差し指で挟み込んだ。柔らかな感触が気持ちいい。耳たぶの柔らかさを堪能した後はまたさらに指を奥に進めて指先が項に届いた。肌の表面を上下にゆっくりと撫でる。 「……んっ」 微かに聞こえた声に私の体がビクリっと跳ねた。秋雲に触れていた手をサッと引っ込める。先ほどまで女の体をなぞっていた手を凝視した。思えばこうやって異性の体に触れるのは久方ぶりだった。基地には艦娘がいるが、仕事のパートナーとしての付き合いを徹底している。見た目の美しい艦娘は多かったが、私は彼女たちをそういう目で見たことがほとんどなかったし、そういう風に触れたいとも思ったことがなかった。性欲は人間の三大欲求の一つだ。どうしても溜まってしまった時は一人で処理をしたし、たまに遠くの街へ出てそういった店を訪ねていた。艦娘たちと一定の距離を保つために思わせぶりな行動をしないように気をつけていた。しかし、私は今何をした。秋雲は触ってもいい、と言った。私は自分で定めたルールも思い出さず、秋雲に触れた。秋雲が声を出さなければもっともっと、彼女の体を堪能しようとしたはずだ。何よりも驚いたのが、私はこの状況に性的興奮を少なからず感じていることだ。 「どーしたのさ提督?触んないの?」 秋雲が不思議そうに私を見上げる。その無垢さがいやらしい気持ちを抱く私を責め、同時にゾクゾクとさせた。これ以上秋雲に触れたら引き返せなくなりそうだ。私は頭を横に振る。 「もう充分だ。下手なりにちゃんと描いてやるさ」 そう言って秋雲と距離を取ろうとした時、強く腕を掴まれた。ニヤニヤ顔が私を見つめている。 「あ~提督ぅ、もしかして秋雲さんに触ったらこ・う・ふ・ん・しちゃったの~?」 興奮の言葉を意地悪く強調される。私は慌てて頭を振った。 「そ、そんな訳がないだろう」 秋雲の手を離そうとしたが逆に秋雲が私に顔を近づけた。 「提督っていちおー女に興奮するんだ?艦娘に全然靡かないし、正直そういう趣味の人かと思ってた」 「からかうのもいい加減にしろ!」 秋雲の肩を掴み私から引き剥がそうとした。 「いいのぉ?秋雲さんは、いいよ」 その言葉に腕の動きが止まった。 「提督になら、私、好きにされてもいいよー」 猫が頬を摺り寄せるように、秋雲は肩の上にある私の右手に顔を押し付けた。私を淫らに誘う女の目をしながら。その姿にゴクリッと喉が鳴った。同時に一つの疑問が浮かび上がる。 「………お前は、私をそういう風に慕っていたのか?」 生前の秋雲との付き合いは私にとって気軽であった。秋雲の私を見る視線には恋愛感情の類を全く感じなかったからだ。馴れ馴れしく私に接することはあったが、小動物にじゃれつかれているか、姪が叔父に懐くような、そういうものを感じていたから、私は他の艦娘よりも秋雲といるのが好きだった。 「多分、違うんじゃないかな」 秋雲は私の右手から顔をあげた。 「生前の私は提督のことは良い上司として好きだったよ。他の艦娘が提督にラブアピールしても全然気にならなかったし、嫉妬もしなかった。今も同じ気持ち。提督とこの部屋で過ごしている間に全然そういう雰囲気にならなかったのは、…私の時間も心も死んだあの時で止まっていて、新しい感情は生まれてないからじゃないかなー今もこう、胸がキュン!となってないし」 「……では、何故好きにされてもいい、など…」 さぁね、と秋雲は微笑んだ。 「でも提督が秋雲を求めるなら、それに応えてもいいかなーって。お礼代わり、って意味もあるかも」 二人の間に暫く沈黙が流れた。その沈黙に居心地の悪さを感じたのか、秋雲の微笑みに困惑の色が見え始めた。 「ごめんね~…提督のことそういう風に好きだったらまだ気分のって出来たよね……うーん、その、提督が嫌なら別にしなくてもいいよ。ただ、提督が秋雲の絵を描いてくれるだけでいいし……?提督?」 秋雲が戸惑った声で私を呼ぶ。私が秋雲の頬に触れたからだ。 「……本当に、いいんだな?」 私の右手に秋雲の手が重なる。 「絵もちゃんと描いてね~」 私はフッと笑みを零し、微笑む秋雲の小さな唇にそっと自分のを重ねた。 秋雲の体はまるで中学生のそれを同じだ。発展途上の体つきであり、初々しく穢れを知らない。とても白くて眩しい。服も下着もすべて脱がされ、一糸まとわぬ未熟な仰向けの体は布団の上で一人の成人男性の手によってゆっくりと撫でられている。秋雲は自分から誘ったが、こういったことには慣れてないようでいつもの悪戯心溢れる顔つきが今は羞恥で赤くなっていた。その情景は私の興奮をさらに加速させる。女としてまだ成長途中の果実を食す行為に背徳と罪悪と、喜びを私は感じていた。白くて柔らかな体を堪能していると、小さな手が私の右手の甲を軽く抓った。空いた手が私の膝の上にあるスケッチブックを指差す。私は渋々手を離すとスケッチブックと鉛筆を掴み、白い空間に線を描き始めた。秋雲の体とページを交互に目をやる。秋雲は描く対象を触れば絵が上達するとはいったが、触れる前に描いたものとそう大差ないものが出来上がりつつある。絵に達者な秋雲が言うのだから実際に効果があるのかもしれないが、今までとんと絵を描いたこともない素人が同じ方法を試してもその努力がすぐに反映される訳がないのだ。ただ違う点を挙げるとすれば、今は描きながら興奮している事だ。白い空間に描かれていく歪な線の集まりを見ただけでも気分が昂っていた。早く触りたい、と。 ある程度描き終えるとページをめくり、また膝の上に置くと手を少女の裸体に伸ばし、触った。秋雲は目を細めて体を震わす。その震動が手に伝わった。手はゆっくりと腰のラインに沿って下に移動し、太腿に到達した。軽く揉むとその柔らかさが心地よい。五本の指でぐにぐにとこねていると小さな声が聞こえた。秋雲の顔を見ればさらに頬が紅潮していた。私は膝のすぐ下まで手を持っていくとグイッと持ち上げた。秋雲の細かった目がビクッと大きく見開いた。私はスケッチブックを横に置き、体勢を変えた。持ち上げた片足を前に寄せて顔を近づけ、目の前の膝小僧を舐める。足がピクリと跳ねた。舌先から甘い味が広がる。私はさらに体を屈めて唇を膝小僧から下へ、脚の付け根へと這わす。チロチロと舌で太腿を味わい続けているとグイッと頭を押された。秋雲の手が私の動きを制しているのだろう。私は空いた手で秋雲の手を掴むと無理矢理引き剥がした。そのまま舌で秋雲の体をなぞる。秋雲が抗議の声をあげるが、無視をして腹を舐めた。高い声が鳴った後、続いて笑い声がした。どうやらくすぐったいようだ。私が脇腹の近くを甘く噛むと肩をバンバンと叩かれる。体も私の責めから逃げようとグイグイ動いていたが私から離れないように押さえつける。しばらく暴れていたが、諦めたのか大人しくなった。私は唇を上へ上へと移動させ、小さな膨らみの上を進み、突起を口に含んだ。固くなった突起を舌でグリグリと弄ぶ。胸がやけるような甘い味と香りに目眩を覚えそうになる。何度か女を抱いた経験はあるが、初めて好きな女を抱いた時のような高揚感を今思い出していた。私は胸から口を離すと秋雲の顔を見た。秋雲は荒い息を吐きながら赤らんだ顔で私を見つめ返している。唇が小さく動いた。提督、と呼ばれた気がして、私は顔を近づけ、服を脱がせる前にしたように、秋雲と唇を重ねた。秋雲の唇はとてもあたたかい。まるで本当に生きているようだ。死んでいるなんて、信じられない。僅かに開いた隙間に舌を差し込む。口内もあたたかかった。己の舌が秋雲のそれに絡みつき何度も何度も熱を確かめる。熱は一向に引く事はなく、益々熱くなっているようだった。その熱が嬉しくて私は、私は、 ペシペシと頬が叩かれた。秋雲の手だ。呼吸が苦しくなったのだろうか、私は秋雲から唇を離した。名残惜しそうに唾液の糸が私の舌先から垂れた。おかしなことに秋雲の顔がゆがんでぼやけている。 「……なーに泣いてんのさ、提督」 秋雲の言葉で、ようやく私は自分が泣いていることに気付いた。秋雲の手が伸びて私の頭を優しく撫でる。 「そんなんじゃ絵なんて描けないよー」 秋雲は上半身を起こすと私の顔に近寄り、目尻を舌で舐めた。溢れる涙と、涙が伝った頬をあたたかな舌が拭っていく。何か言葉をかけようと思ったが喉が詰まって何も言えなかった。 「……提督、秋雲、本当は自分が沈む所を描いて欲しいんだよね~」 私は驚いて秋雲を見た。 「でもそんなの、誰にも頼めないっしょ。でも誰かに秋雲のこと描いて欲しかった。それが提督で良かったよ」 横に置かれたスケッチブックを秋雲は手に取った。パラパラと前のページをめくる。最初の一枚は椅子に座っている着服の秋雲、二枚目からは服が乱れ、ページが進むごとに肌の露出が高くなっていた。絵が下手でも、その程度のことなら第三者の目から見ても分かる、はずだ。秋雲はからかうことも茶化すこともせず、静かに絵を眺めていた。その横顔は穏やかな笑みだった。私も涙がようやく落ち着き、目を強く服の袖で拭った。秋雲に近づき彼女の手からスケッチブックを取り上げる。転がっていた鉛筆も掴んだ。 「……後ろ、後姿を描く」 りょーかい、と言って秋雲は私に背を向けた。私は白紙のページを開き、鉛筆を走らせた。 そうして私は、秋雲を白い空間に何度も描き、何度も体に触れ、何度も彼女の熱を確かめた。 そして、ついに夜が明けた。 雲一つない青空が広がっている。 その空の下、港に立つ瑞鶴は深呼吸をする。心臓の音が緊張で早くなっていた。 「そこに立ってると邪魔なんだけど」 「わっ! ……って、加賀…さんですか」 後ろにいる加賀を見て瑞鶴は眉間を顰めた。はぁ、と加賀は小さく溜息を吐いた。 「久々の実戦で怖いの?やっぱり貴方は出撃しない方がいいんじゃないかしら」 「な!んなことないですし!ただの武者震いですし!」 怒る瑞鶴を見ても加賀は表情一つ変えなかった。そう、と興味なさそうに呟くだけだ。 「瑞鶴落ち着いて…ほら、もう少しで出撃の時間よ」 慌てて二人の傍に来た翔鶴が瑞鶴を宥めた。瑞鶴は頬を膨らませてツンっと横を向いた。 「やれやれ…あの二人は相変わらずだな…」 それを見ていた長門は呆れているような声を出す。 「お前たち、準備はいいか」 長門が振り返ると提督がこちらへ向かって歩いていた。その後ろでは北上が前を歩く木曾のマントの裾を面白そうに持ち上げながら歩いている。 「あぁ、司令官。私はいいぞ。…多分あいつらもいいはずだ」 長門は親指で空母たち三人を指した。 「よし、ではみんな、並んでくれ」 提督の合図で横一列に翔鶴、瑞鶴、加賀、長門、木曾、北上が並んだ。 「本日は北方海域のアルフォンシーノ方面への出撃だ。深海棲艦がまたその辺りに集い始めているとの情報があった。第一艦隊はアルフォンシーノ方面に赴き、深海棲艦を見つけ次第すべて撃滅せよ。旗艦は瑞鶴とする。途中損害が酷ければ直ちに帰投しろ。また、基地へ到着するまでは決して油断するな。慢心せず、注意を払え」 はい、と六人は返事をした。 「そして瑞鶴」 「ふぁ!?な、何ですか」 提督に急に呼ばれて瑞鶴の声が裏返っていた。 「久々の実戦で不安なことはあるかもしれないが、お前もこの基地の大事な主力の一人だ。自信を持て、前を進め。頼んだぞ」 瑞鶴は目を何回もパチパチさせた後、ピシッと姿勢を正してはい!と大きく返事をした。 「加賀と翔鶴は瑞鶴のサポートをお願いする」 「承知しました」 「了解です」 よし、と提督は安心したように頷いた。 「それでは第一艦隊、出撃せよ」 雲一つない青空が広がっていた。 第一艦隊は予定通りに港を発った。艦娘たちは既に水平線の向こうへ消えている。 男が一人、プライベートルームのドアの前に佇んでいた。数十分も何もせずにそこにいたが、意を決したようにドアノブに手をかけた。ドアは難なく開き、男を部屋の中へと招く。男はゆっくりと足を進めた。居間への襖は閉じられており、玄関側は少し薄暗い。男は靴を丁寧に脱ぐと冷たい床の上を歩いた。襖の取っ手に手をかけ、深呼吸をし、開いた。 誰もいなかった。 何の声も聞こえなかった。 男は一人だった。 男はのろのろと窓際にある椅子へと向かった。椅子の上にはスケッチブックが一冊置かれていた。男はそれを手に取り中を開いた。 瑞鶴がいた。男が港で見送ってきた、瑞鶴がいた。久々の実戦に瑞鶴は小さな不安を抱いていたが、いざ出撃した時の彼女の背中は熟練の艦娘と変わらぬ、頼もしく力強いものであった。 その絵を見ながら、男は静かに涙を流した。 「翔鶴姉、早く早く」 瑞鶴は後ろで不安そうに歩く翔鶴に声をかけた。 「待って瑞鶴…あの、本当に大丈夫なの?ここに来ても…」 「大丈夫だって!だって提督さんが瑞鶴たちを呼んだんじゃん。来いってさ」 「そ、それはそうだけど…」 瑞鶴は大きく溜息を吐くと翔鶴の手を取った。 「いいからいいから、ほら行くよ!」 「あ、もぅ瑞鶴ってば!」 煮え切らない翔鶴の手を引っ張り瑞鶴は先へドンドン進んだ。基地で比較的新参者の瑞鶴にとってこの通路の先にある部屋に行くのは二回目だったが、翔鶴や他のほとんどの艦娘はこの建物自体に足を踏み入れたことがなかった。建物の存在は誰もが知っていたが、ある意味ここを訪れることは禁止にされていたからだ。この建物の最上階には提督のプライベートルームがあるのだが、提督はその部屋に自分以外の者が立ち入ることを酷く嫌っていた。緊急事態があれば携帯への連絡を徹底し、部屋を訪れることを許していなかった。提督に猛烈にラブアピールしていた艦娘さえ、押しかけ女房のように提督のプライベートルームに行くことは躊躇うほどだ。そんなことをしてしまったら最後、解体でも近代化改修の餌にでもされかねなかったからだ。しかし、つい昨日提督は瑞鶴と翔鶴に都合が悪くなければそのプライベートルームに来て欲しい、とお願いしたのだ。 「そう心配することないと思うよ。提督さん、最近はすっごく丸くなってるし」 瑞鶴の言葉通り、提督は変わった。サブ島沖海域で連絡が途絶えた艦娘たちの捜索隊が無事に彼女たちを見つけ帰投した後から、提督は瑞鶴の謹慎を解いた。それから瑞鶴を演習に参加させるようになった。先日は久々に海域へ出撃し、深海棲艦たちを蹴散らすことも出来た。装備も強いものを与えられ、瑞鶴は強くなる機会を取り戻したのだ。それに、ビジネスライクを思わせる提督の艦娘への接し方が前より穏やかなものへと変わった。ただしやはり、分かり易くラブアピールをする艦娘には全く隙を見せることはなかった。そういうおカタい所がいいのデース、なんてまた別の意味で火がついたようだが。 「でも何の用かしら……この間の出撃は深遠部まで行ってもみんなほぼ無傷で帰還できたのに…」 「さぁ…でも瑞鶴たちに関係あることを話すんじゃないかな。……色々と、さ」 提督は瑞鶴に寮外に出ることを禁止にした理由を未だに語らなかった。もちろん翔鶴にもだ。今までの非礼の謝罪しか聞いていない。 「その話だといいんだけどなぁ……あ、見えたよ、あの部屋だ」 二人はプライベートルームの前まで来た。ドアの右側には名札が貼ってあり、左側にはインターホンが設置されていた。そういえば、前にここに来た時は興奮していたからインターホンが目に入っていなかった。無遠慮にドアを叩いてしまったことを思い出し、瑞鶴は申し訳ない気分になった。気を取り直してインターホンを押そうとした時、瑞鶴は妙な違和感に気付いた。 「瑞鶴?どうしたの?」 「あ、いや、何か足りないなと思って…」 「足りない?何が?」 「うーん……なんだろ、ま、いいや」 瑞鶴がボタンを押すとピンポーンと機械音が鳴った。数秒ほど待つとガチャリとドアが開いた。 「瑞鶴、翔鶴、よく来たな」 「お、おはようございます…!」 目の前に現れた提督に、二人は頭を下げて挨拶をした。上からおはよう、と低い声が返って来た。 「来てくれてありがとう。さぁ、入ってくれ」 瑞鶴と翔鶴は恐る恐る部屋の中へと足を踏み出した。 「お邪魔します…」 提督のプライベートルームはとても質素なものだった。キッチンも綺麗に片付いており、汚いところはない。居間も本棚にギッシリ本が並んである以外、乱雑になっていなかった。ただ、窓から見た景色がとても綺麗であった。最上階であるこの部屋からは水平線も港も演習場も見渡せた。今日のように天気の良い日は、最高の眺めであった。瑞鶴と翔鶴が窓の景色を堪能していると後ろから二人の名を呼ぶ声がした。振り返ると提督が赤色のスケッチブックを差し出していた。近くにいた瑞鶴が受け取り、中を開いた。 「わっ すご…」 スケッチブックには多くの艦娘や基地の景色、そして深海棲艦の絵が描かれていた。どの絵も今にも動き出しそうなほど躍動感に溢れたものだった。 「ね、ねぇこれ!翔鶴姉だよね」 何十枚かめくった後に翔鶴のページが現れた。演習中の翔鶴を描いたもので、普段と違う真剣な表情に瑞鶴は目を奪われた。 「すごいなーかっこいいね、翔鶴姉」 翔鶴を見ると、その目が驚きで見開かれていた。自分の絵に驚いているというよりも、もっと別のことに目を奪われているような、そんな驚き方だった。 「確か瑞鶴の絵は数ページ先にあったはずだ」 「え?!本当?」 瑞鶴は急いでページをめくった。すると目当てのものが目の前に現れた。 「わぁ……」 瑞鶴はただ感嘆するしかなかった。先ほどみた翔鶴と違って動きのない絵だったが、その力強いタッチに瑞鶴の体は震えた。その震えには覚えがあった。そう、久々に出撃した時に感じたあの震え。 「それは先日描かれたものだ。瑞鶴の久しぶりの出撃の日に」 「すごい…!提督さんって絵の趣味あったんだね」 提督は頭を横に振った。 「これは私が描いたものではないんだ」 「え?じゃあ誰が描いたの?」 瑞鶴は頭をあげて提督を見た。提督は、フッと静かに笑った。その笑顔が何処か寂しそうに見えて、瑞鶴はドキリとした。 「絵を描くのが得意なやつがいたんだ…彼女は、瑞鶴と翔鶴を描きたいとよく言っていた。ついにその夢を叶えることができたんだ」 「あれ、そんな子いたんだ…?」 瑞鶴は首を傾げた。瑞鶴はこの基地にいる艦娘全員とは顔を合わせた記憶があるが、誰からもそういった話を聞いたことがなかった。 「瑞鶴、その子にお礼言いたいな。こんなにかっこいい翔鶴姉と瑞鶴見れたもの!」 提督は再び頭を振った。 「…すまない、彼女はもうここにはいないんだ」 「え?!そ、そうなの?なんだ、いないのか…」 残念だね翔鶴姉、と声をかけようとして隣を見ると、翔鶴の表情は相変わらず険しかった。何が翔鶴をそこまで驚かせているのか、瑞鶴は不思議で仕方なかった。 「…翔鶴姉?どうしたの?」 「あ、……ううん、何でもない。何でもないわ」 翔鶴は瑞鶴に笑いかけると提督に顔を向けた。 「その人はもう、ここには戻って来ないのでしょうか」 「そうだな、きっと」 「そう、ですか…」 翔鶴と提督は黙り込んだ。二人の間に妙な沈黙が流れる。まるで二人だけは通じ合っているような、そんな沈黙。その沈黙に段々瑞鶴は居心地の悪さを感じ始めた。 「そういえば」 先に沈黙を破ったのは提督だった。 「賞状と勲章は受け取ることにした」 賞状と勲章?瑞鶴には何の話か全く分からなかったが、翔鶴が嬉しそうに声を上げた。 「提督、本当ですか?」 「あぁ。何となく吹っ切れてな、頑なに跳ね除けなくてもいいかもしれないと思い始めたんだ。これで友人の小言からも解放されるが…… 戦ったのは私ではなく艦娘たちなのに、私の名で授与されるのが申し訳ない」 「私たち艦娘は貴方の下にいたからこそ周りから称えられるような戦果を残せたのです。私たちのことは気にせず、貴方が受け取ってください、提督」 「翔鶴……ありがとう」 先ほどよりもさらに濃厚な二人の空間に瑞鶴は気圧されていた。提督と翔鶴を交互に何度も見遣り、あー!と急に声を出した。二人は驚いて瑞鶴を見る。 「ちょっと!賞状とか勲章とか何の話?!あとスケッチブックも!結局誰が描いたのよー!瑞鶴を置いて二人の世界を作らないで!」 「ご、ごめんなさい瑞鶴…そういうつもりじゃなかったんだけど…」 翔鶴はおろおろしながら瑞鶴を宥めた。 「っていうか!提督さんはどうして瑞鶴を外出禁止にしたの?瑞鶴何かやらかしたの?」 瑞鶴は一番の疑問を提督にぶつけた。提督は申し訳なさそうに眉間を歪める。 「すまない瑞鶴。お前を閉じ込めた理由だが…聞かないで貰えるか?君にはとても悪い事をしたと思っている。しかし私はその理由を告げることはできない。少なくとも、まだ今は」 瑞鶴は提督を見つめる。提督は目を逸らさなかった。瑞鶴には提督が何を考えているのかが全く読み取れなかった。しかし、瑞鶴に外出禁止を言い渡した時よりも、優しい目をしている気がした。 「……分かった。じゃあ聞きません」 渋々瑞鶴がそう言うと、提督が安心したように笑った。 「ありがとう、瑞鶴」 ドキリと、また瑞鶴の胸が疼いた。ビジネスライクの笑顔とは違う、何処か純朴な笑顔だった。 「ところで、この後は二人は予定はあるのか?」 「いえ、何もありませんが」 翔鶴が答えると、提督がそうか、と呟いた。 「昼が近いが、一緒に食べないか?カレーを作ってあるんだ」 「えっ えぇ!?」 瑞鶴は提督の誘いに驚きを隠せなかった。艦娘と距離を置いて接してきた提督が自らその艦娘を食事に誘うのだ。提督が以前と変わってきていることは感じていたが、ここまでその変化が影響しているのかと瑞鶴はある意味感心していた。 「久々にこの部屋で誰かと一緒に食べたくなったんだ。間宮の料理がいいなら、無理に付き合わなくてもいいが」 「えっと、瑞鶴はいいけど…翔鶴姉も大丈夫だよね?」 翔鶴はえぇ、と頷いた。 「是非、ご一緒させてください」 二人の返答を聞いて提督はちゃぶ台を指差した。 「ならゆっくりしていてくれ。準備してくる」 「何かお手伝いできることがあればやりますが」 「翔鶴も気遣わなくていい。あぁ、本棚にあるものは読んでいて構わない。他のスケッチブックもあるから見るといい」 提督はそう言うとキッチンの方へ消えていった。瑞鶴は翔鶴と顔を見合わせた。 「えぇっと…じゃあ、ゆっくりしましょうか、瑞鶴」 「うん…あ、他のスケッチブックも見たい」 瑞鶴は本棚の方へ行くとスケッチブックを探した。上から四段目の棚にスケッチブックが並んでいた。青、赤、黄色、緑――――――様々な色の表紙だった。 「黒はないんだ…」 瑞鶴は適当に四冊ほど取ってちゃぶ台に戻った。座布団に座って待っていた翔鶴の前にスケッチブックを置く。 「あ、ねぇ翔鶴姉はこの絵を描いた人のこと知ってるの?」 「え?どうして?」 「いや…何か知ってそうだったから」 翔鶴は困ったように笑った。 「…思い当たる人はいるけど…私の勘違いかもしれないから。それに提督は話したくないようだから、私も話さないわ」 「話したくないって…それって瑞鶴を閉じ込めた理由だけじゃないの?」 「もしかしたらそれに関係する人かもしれないから、ね」 翔鶴の話は腑に落ちなかったが、瑞鶴はそれで納得するしかなかった。仲間外れにされた気分だが、二人とも話す気がないから深く問い詰めるのも気が引けた。 「……じゃあさ、賞状とかの話は?」 「南方海域まで行けるようになったでしょう?それの表彰よ」 「そうなんだ…って、何で翔鶴姉が知ってるの?」 「提督のお知り合いの議員の人が話してくれたのよ」 「ふーん…」 外出禁止を命じられている間、翔鶴以外の艦娘との交流もあまりなかった。会話までは禁止されていなかったが、理由が不明なのと提督の態度に周りは瑞鶴とどう接していいのか分からなくなっていたらしい。寮外に出ることを禁止されている瑞鶴に外の話をすることで瑞鶴を傷つけるのではないか、と心配していたことを他の艦娘から聞いた。謹慎を解除されてからは艦娘たちは色んな話を瑞鶴にしてくれた。あの加賀でさえ、演習場では瑞鶴の面倒を見たり海域ではフォローをしてくれた。提督の命令もあったからだろうが、何となく加賀の優しさも感じないこともなかった。そうやって周りが瑞鶴との距離を埋めようとしていたしそれを嬉しくも思っていたが、やはり、寂しさは拭えなかった。 瑞鶴はスケッチブックを一冊取って中を開いた。先ほど翔鶴と一緒に見た物に描かれていなかった艦娘がいた。遊んでいる所や寝ている所、ご飯を食べている所など、日常的な場面が多く描かれていた。間宮が料理を作っている絵もあった。仕事中の提督もいた。そこには瑞鶴の知らない光景ばかり描かれていた。 「カレーが出来たぞ。上を片付けてくれ」 提督の声が聞こえ、瑞鶴と翔鶴はちゃぶ台に置いていたスケッチブックを床に置いた。提督はトレイにカレーを二皿乗せて運んできた。カレーの良い香りが鼻の奥を擽り、口の中で涎がじわりと溢れる。提督は瑞鶴と翔鶴の前にカレーを置くとまたキッチンの方へ行った。美味しそうなカレーを前にしてぐぅ、と小さな音が瑞鶴の腹から鳴った。恥ずかしそうに顔を赤らめる瑞鶴を見て翔鶴は小さく笑う。 「笑わないでよ翔鶴姉!」 「ごめんなさい怒らないで…ふふ」 提督が片手にカレー、片手にスプーンを三つ持って戻って来た。ちゃぶ台の前に座るとスプーンを二つ、瑞鶴と翔鶴に渡した。 「待たせたな、じゃあ食べよう」 提督は手を合わせた。瑞鶴と翔鶴もそれに倣う。瑞鶴は手を合わせながら、絵描きの人がいたらこの場面も描いてくれただろうか、と考えた。瑞鶴はまだ色んな事を知らない。絵描きの人が知っている景色のほとんどをまだ直接見た事がない。それはとても寂しいことではあるけれども、これから自分自身の目で見ていけばいいのだ。きっとそこには絵描きの人が知っている景色も、知らない景色もあるだろう。 けれども、今は、この食事を楽しむのが先だ。 「いただきます」 三人の声が重なった。 今日は金曜日、カレー日和だ。
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仕事が立て込んでいる時の為に執務室には布団と枕を一式用意しているが、もちろん私専用のプライベートルームは存在している。別の基地に勤める友人の司令官は仕事で使う執務室のすぐ隣に個室を用意していると聞いたが、私は仕事とオフの線引きを明確にしないと気がすまない性分だった。執務室の隣にプライベートルームを置いてしまうとどうしても仕事とオフの切替がやりにくい。軍という組織の仕組み上、基地の敷地外でそういった場所を用意しても容易に帰ることは出来ないので、敷地内で極力執務室から遠い場所にプライベートルームを作った。その部屋には軍事関係の物は軍服以外は一切置いていない。基地内外の移動で軍服の着用を義務付けられていなかったら軍服さえ執務室に残して置きたかった。物でさえ仕事に関わる物はプライベートルームからは遠ざけたかったのだから、仕事で関わっている艦娘たちをそこへ招き入れることも一度もしたことがなかった。私は彼女たちのことは誰一人嫌っていない。むしろ信用しているし、有り難いことに彼女たちは私のことを信頼していた。しかし私にとってみれば彼女たちは仕事のパートナーであって、それ以上でもそれ以下でもない。艦娘は今世界中で起こっている化け物との戦争で必要な戦力だ。彼女たちがいなければ我々人間は既に深海から生まれた化け物に侵略され最悪絶滅していたかもしれない。その点に関しては私は艦娘に感謝をしているし好意を抱いている。だがその気持ちに恋愛の類は一切ないのだ。この基地の中で男は私の他にもいたが、艦娘と対等に渡り合えているのは私だけであった。己の司令官としての手腕もそれなりの功績をおさめているので艦娘たちからの信頼も厚い。そうなれば自然とその信頼を恋愛感情の一種として捉える艦娘も出て来る。艦娘はその凄まじい戦闘力を持ちながらも、感性は普通の女性そのものだ。そして男と女がいる環境で愛だの恋だの浮いた話が出てこないはずがない。私に積極的にアピールする艦娘も何人かいたが、私はどうしてもそういった感情を抱く気にはなれなかった。上手く誤魔化したり流したりして彼女たちのプライドを傷つけないように接するので精一杯だった。艦娘は美しく、可憐で、いじらしく、可愛らしい存在だ。なんとも魅力的な外見である。それでも私は艦娘を一個人として見れなかった。艦娘が私を一人の人間として接しても、私は彼女たちを仕事の一つにしか見ていなかった。だから純粋に私に好意を抱く艦娘には申し訳なさを感じていた。 そんな私の徹底した拘りの隙をついて、数ヶ月前から数十冊のスケッチブックが部屋の本棚に置かれるようになった。表紙の色は何色か被っていたが、黒色だけは一冊のみだ。黒のスケッチブックだけは白紙のページが半分以上残っていたが、他の色のスケッチブックには我が基地にいるほとんどすべての艦娘とスタッフ、そして海域に蔓延る深海棲艦がページいっぱいに描かれていた。スケッチブックに描かれた者たちは今にも動き出しそうな程生き生きとしていた。特に最近完成した瑞鶴の力強さには見ているこちらも武者震いをしてしまう。久々の出撃に赴く瑞鶴の姿を描いたものだ。雲一つない晴れ渡った空の日、私の部屋の窓の傍で椅子に座り、スケッチブックは窓の縁を背に膝の上に立て、目は港にいる第一艦隊と鉛筆の黒に彩られていく白の空間を交互に見ながら、描いていたのだ。私も窓から港を見たが、誰かが港にいることは分かってもそれが誰かは見分けはつかない。いくら視力に優れた人間でも私の部屋から港にいるもの全員を判別することなど、裸眼では不可能だ。しかし彼女は違った。私の部屋から港までの距離なら顔の表情まで分かると楽しそうに言っていた。演習場で厳つい顔をしている私の姿も分かるとも。自分の顔など意識をしたことはないが、そう言われた時は少し気恥ずかしかった。その翌日は演習場で艦娘たちの訓練を指示していた時に彼女に見られていることを何となく意識してしまい妙な表情をしてしまったのだろう、その日の業務を終えて部屋に帰った時に彼女にそのことでからかわれた。しばらくしたらその状況も慣れて演習場でも普段通りに戻れた。彼女はつまらないなぁ、と残念そうに呟き、私は苦笑した。 彼女はいつも私の部屋にいた。私が帰る時は必ず窓の傍にスケッチブックを抱えながら座っていた。私を見るとおかえり、と明るく出迎えてくれた。私は誰も自分の部屋に招き入れたくなかった。それが艦娘なら尚更だ。しかし彼女だけは違った。けれども追い出す気にはなれなかった。それに部屋に彼女がいると不愉快などころか、居心地の良さを感じていた。私はきっと彼女に艦娘に抱くモノとは違う好意を感じていたのだ。しかし、私には分かっていた。それは純粋な好意ではなく、ただの―――――― 「提督!朝だよ朝朝~!起きて~!」 グイグイと体を揺さぶられ、目を開けると茶目っ気のある笑い顔が私を見ていた。半身をゆっくりと起こして瞼をこすり、隣に目をやった。 「おはよう提督!」 「……おはよう、秋雲」 視界にパジャマ姿の秋雲が映っていた。まだ眠気眼の私の頬を秋雲はペチペチと軽く叩く。 「だーいじょうぶー?昨日はちょっと飲みすぎたんじゃないのぉ~?」 昨晩は月に一度の軍士官と議会の集まりで酒を飲んだ。酒は弱い方ではないが、少し飲みすぎたのかもしれない。一晩寝ても酔いの気分がまだ残っていた。私は掛け布団を横に除けて立ち上がった。首にかけていた二つの鍵のペンダントが小さな金属音をたてた。 「これぐらいどうってことはない。午後には楽になる」 若干ふらついた足取りで洗面所へと向かう。蛇口を捻って水を出し顔を洗った。何度か水を顔にこすりつけてから傍にかけていた白いタオルで顔を拭いた。吹き終わるとタオルを元に戻し後ろを振り返ると、秋雲が私と彼女の布団二式を畳み終えたところだった。朝食の準備を始めようと思い台所へ向かおうとしたが、ちゃぶ台には既に食事が用意されていた。 「秋雲さんのスペシャル朝食だよ~」 したり顔で秋雲は言った。 「二日酔いの提督のために作ってあげたんだから、味わって食べてよぉ~?」 いつもなら私が朝食を作っているが、秋雲が気を遣ってくれたのだろう。その行為が嬉しくて自然と顔が綻んだ。 「ありがとう秋雲」 私と秋雲はちゃぶ台の前に座った。台には箸、白米、目玉焼き、味噌汁、焼き魚が並んでいた。秋雲の前にも同じものが置かれている。私が手を合わせると秋雲も手を合わせた。 「いただきます」 箸を手に取りまずは白米を一口食べる。出来立ての米の歯ごたえとほのかな良い香りに噛みながら涎が沸き出た。次に味噌汁の椀を持ち上げて端を唇につけ傾けた。味噌の香りと共に味が口一杯に広がる。ダシの煮干が良いアクセントになっていた。 「どうどう?おいしい?」 秋雲が興味深々に聞いてきた。私は椀を口から離す。 「あぁ、おいしい。お前も料理は出来るんだな」 私の褒め言葉に秋雲はフフンっと自慢げに腕を組んだ。 「秋雲さんは絵だけが取り得じゃないのさぁ~まっ 原稿で忙しい時はカップ麺とか簡単なものですますんだけど」 「そうか」 秋雲の話を聞きながら私は箸を進めた。秋雲は食べながらあれやこれやと話を始める。原稿がどうの、絵がどうの、料理がどうの。私はたまに相槌を打ったり口を挟んだりするが、基本的に秋雲の話に耳を傾けて静かにしていた。ここは私と秋雲の空間。この部屋で秋雲と過ごす時間が今では日常の一部と化し、私はこの時間を何よりも大事にしたい気持ちが強くなっていた。 食事を終えると二人でごちそうさまをした。秋雲は食器を片付け、私は歯を磨く。歯を綺麗にしてから洗面所のカーテンを引いて秋雲からこちらが見えないようにした。壁にかけていた軍服を取り着替える。上着のボタンを下から上へと留めていく度に気持ちが引き締まっていった。首につけているペンダントを襟の中に入れ、鏡で身だしなみのチェックを完了するとカーテンを開けた。秋雲は軍帽を持って目の前に立っていた。私は軍帽を受け取ると頭につけ、また鏡で確認する。よし、準備完了だ。 「ひゅ~提督かっこいい~」 秋雲のからかうような声を適当に流し、私はドアノブを掴んでドアを開けた。 「あ、ねぇ、今日は帰りは遅くなるの?」 ドアノブに手をかけたまま、私は少し考えた。 「多少は定時を過ぎるかもしれないが、八時までには戻るはずだ」 「そっか~じゃあ夜ご飯も作ってあげよっか?」 「いいのか?」 「いいよいいよ~今日は秋雲さんの特大サービスデイでーす」 秋雲は調子良く笑った。私もつられて目元が緩んだ。 「楽しみにしている。……ではいってくる」 ピンっと張った腕が目の前で大袈裟にブンブンと揺れた。 「いってらっしゃーい!」 笑顔で見送られ、私はドアを閉めた。襟の中からペンダントを取り出し、鍵の一つを鍵穴に差し込む。 ガチャリ。 それから最近ドアの左に取り付けた南京錠をセットした。残りの鍵で南京錠を閉める。 ガチャリ。 これで誰も私の部屋へ入れない。 秋雲も私の部屋から出て行かない。 ここは私と秋雲の空間。 誰にも邪魔はさせない。 私はペンダントを再び襟の中へ戻すと、仕事場へと向かった。 ------------------------------- 執務室へ通じる廊下を歩いているとドアの前に見慣れた白い長髪が見えた。女の顔が私の方に向けられる。 「おはようございます提督」 「おはよう、翔鶴」 翔鶴はドアノブを引いてドアを開けた。私は会釈をすると執務室へと入り、やや遅れて後ろからドアの閉まる音が聞こえた。 「お体は大丈夫ですか。いつもより少し気分が悪そうですが」 「昨日は少し飲みすぎたが、昼には酒も抜ける。気にしなくていい」 「ではお茶を用意しますね」 そう言って翔鶴は給湯室へと消えた。私は執務机のリクライニングチェアーを引いて腰かけた。座り心地のよい感触に私は安心して背中をもたれさせる。緩慢な動きでノートパソコンの電源をいれパスワードを入力してロックを解除すると翔鶴が電気ポットと湯飲みを乗せたトレイを持って机の前まで来ていた。書類や本が置かれていないスペースにトレイを置き、湯飲みを私の前に差し出した。 「ありがとう」 感謝の言葉を述べて湯飲みを手に取る。手に伝わる仄かな温かさに気持ちが和らいで口をつけた。 「第二艦隊は予定通り朝の11時に帰投するそうです。第一艦隊の出撃の準備も整っています」 「そうか。出撃は第二が帰って来た後だ。また第三を午後13時からタンカー護衛任務に送る。メンバーは……旗艦を龍田、時雨、白露、村雨、以上4隻だ」 「了解しました。第一の編成に変更はありませんか」 「ない。予定通りだ」 「演習はどうしましょう」 私はデスクトップにある船のアイコンをクリックした。数秒後にこの基地にいるすべての艦娘の名前のリストが出てきた。一覧にザッと目を通して頭の中で編成を考える。 「旗艦を大井、比叡、ヴェールヌイ、阿武隈、那智、羽黒の6隻。午前も午後もこのメンバーだ。大井は……もうすぐで改二にできるか」 大井の名前をクリックして彼女の現時点でのステータスを確認した。北上は既に改二になっており第一艦隊の主力として活躍していた。大井も改二にして改修すれば一ヶ月以内には北上と一緒に第一に組ませられるだろう。 「……演習はそのメンバーでよろしいのですね」 確認の声に私は頷いた。 「あぁ、頼む」 「……本当に?」 私は顔を上げた。翔鶴は不安そうな目で私を見ていた。 「何か問題でもあるのか」 翔鶴は目を伏せる。 「……了解しました」 その言葉には不満が滲み出ていた。私はそれに気付かない振りをしてディスプレイに目を戻した。 「翔鶴も第一で出撃だ。秘書の仕事はもういい。お前にとっては初めての南方海域への出撃だ。念入りに準備をしろ」 「……はい」 翔鶴は頭を下げるとドアへと向かってた。ドアを開けて執務室から出ていく間に翔鶴の視線を感じたが、私はノートパソコンから目を離さなかった。バタンと閉まる音を聞いてから私はドアへ目を向けた。 翔鶴の不満の原因は分かっている。しかし今の私にはその不満を解消してやる気持ちが全くなかった。任務遂行に支障をきたさないからだ。翔鶴は不満を持っても私の決定に決して逆らわない。私が彼女の上司で、これは仕事だからだ。 私は提督という立場に甘えていた。 --------------- ヒトマルマルゴー。 書類の処理をしていると控え目なノックの音が聞こえた。ガチャリとドアが開き、失礼しますと声がした。翔鶴だ。 「提督、議会の方がいらっしゃっています」 私は耳を疑った。 「そんな話は聞いてないぞ。何故突然」 「はい、何でも近くに来たからついでに顔を出されたようです。どうなさいますか」 「どうもこうも……分かった。今から行く。翔鶴は同行しなくていい」 「分かりました」 翔鶴は再び部屋を出ていった。私は頭を押さえた。議会の人間とは昨晩の集会で酒を飲み交わしたが、しばらくは顔を合わせたくなかった。だからといって挨拶もせずに帰らせるのは相手の気分を害するだろう。私は気分がのらないままチェアーから立ち上がった。 ------------------- 「やぁ提督!昨日ぶり!」 応接室に入った私に朗らかに挨拶してきたのは、議会に在籍している友人だった。 「訪ねるなら訪ねるで連絡をくれないか。こちらは常時暇ではないんだ」 私の文句に友人は小気味良く笑った。 「まぁまぁ固いことは言いなさんな。俺は昨日みたいな集会がない限りここらへんは滅多に来ないから色々ぶらつきたいんだよ。それに」 友人の口元がにやついた。 「艦娘っつーのを見てみたかったんだ。いや~可愛いねぇ、翔鶴ちゃんだっけ?髪が白い子」 私は思わず苦笑した。いかにも軟派な友人らしい。 「ここに案内されるまでに他にも女の子を見たけど、子供もいるんだな~選り取り緑じゃねーか。羨ましいね」 「あんまりふざけたことを言っているとお前の奥さんに言いつけるぞ」 「おいおい!勘弁してくれよ!」 友人は顔の前に手を合わせる。やれやれ、私は溜め息をはいた。 「……基地内を見たければ案内をつけよう。翔鶴は出撃を控えているから別の艦娘にやってもらうが構わないか」 「おうよろしく!オススメの可愛い子ちゃんで頼むぜ!」 「では、私は仕事が立て込んでいるから失礼する。十分以内に案内をここに寄越そう。あと食堂にも寄るといい。腕のいい料理人がいるんだ」 そう言って私は部屋を出ようとした。 「なぁ、待てよ。そう急いで片付けねぇといけねぇやつなのか」 友人の言葉で私の足が止まる。私は後ろを振り返らなかった。 「あぁ、そうだ。私は忙しいのでね」 「翔鶴ちゃんから何も聞いてねーの?」 翔鶴から?その言葉が気にかかり体を友人の方へ向けた。 「お前のお陰で南方海域に進出できたろ?その功績を讃えて国から賞状と勲章が貰える話」 「…?その話は確か」 「そ、お前は辞退するって言ったが… メンツってもんがあるんだ。議会のお偉いさん方はお前の気をどうにかして変えさせろって俺に念を押してね…ショージキ参ってる訳よ、お前の頑固さには」 昨晩の酒の席でも友人だけではなく他の人間からもその話を再三された。御託はいいからとにかく素直に貰えと。なんなら多少のお小遣いもやってもいいと。 「ただ受け取るだけじゃねーか。何かをしろって話でもない。受け取るだけでクソを出すより簡単に羨ましがられる名誉を得られる」 「…今でも充分と言えるほどの評価を得ている。これ以上は私には釣り合わない。それに私よりも艦娘にこそ賞状や勲章は与えられるべきだ。私は単に作戦を考え、指示をしただけだ」 「軍と政界ってところはまだまだ男社会でさぁ……”艦娘の戦果をお前が代表して受け取る”、これでもダメか?」 例え友人に説得されようとも、私の意志は変わらない。 「艦娘にはあっても、――――――私自身に受け取る資格がない」 静かな時間が流れた。友人もついに諦めたのだろう。私はドアノブを引いた。 「――――――臆病者め」 憎まれ口に思わず口元に笑みが浮かんだ。今の私にはお似合いの言葉だった。 「失礼する」 私は応接室のドアを閉めた。左手につけている腕時計を見ると十時五十分を指していた。この時間なら第二艦隊の出迎えが出来そうだ。私は港へと足を進めた。 ------------------------------- 私が港に着いた頃には翔鶴が既に第二艦隊の旗艦の神通と話をしていた。周りにいた第六駆逐隊の雷が私に気付いて「司令官ー!」と嬉しそうに呼びかけた。 「ただいま司令官!資源いっぱい取ってきたわよ~」 雷が自慢げに言った。電も「なのです!」と便乗する。 「いつもより量が多いですよ。大成功ですね」 翔鶴が第二が持ち帰った箱の山を指差した。工廠スタッフの妖精がえっちらほっちらと箱を工場へと運んでいく。 「みんなよくやった。流石だな」 「当然よ!一人前のレディーなんだからこれぐらい朝飯前なんだから」 暁がツンとした態度でいる隣で響は無言で頷いた。その様子が微笑ましい。 「疲れただろう。今日はもう休んでいいぞ」 はい、と第二が返事をした。私と翔鶴以外は寮へと向かって行った。二人きりになったので私は話を切り出した。 「翔鶴、友人から私に何か言うように言われていたのではないか」 はい、と返事が聞こえた。 「賞状と勲章の件は、提督にはお考えがあって受け取らないのですから私が口を挟む必要はありません」 それに、と翔鶴は続ける。 「私は賞状にも勲章にも興味はありません。他の艦娘たちもそうでしょう。誰も貴方の判断を咎めません。深海棲艦もまだいますからね」 翔鶴は海の向こうを見据えた。私もそちらに目を向ける。私には水平線しか見えないが、翔鶴の目には何が映っているだろうか。あの化け物たちが見えるのだろうか。 「怖いか」 私の問いかけを聞いて翔鶴は私に振り返る。目の前の顔はこれからの出撃に戸惑っているようにも、期待しているようにも、恐れているようにも見えた。翔鶴がここへ来たのは数週間前のことだ。古参と比べればまだ練度は低いが、持ち前の能力もあってそれなりの戦力を身につけた。あとは実戦経験を重ねれば主力の一航戦である赤城と加賀に追い付けるだろう。 「分かりません。ですが、五航戦として恥じない戦果をあげる所存です。不在の一航戦の先輩たちの分まで頑張ります」 赤城は今は第四艦隊の旗艦になり、加賀と共に遠征に行っていた。帰りは明後日になる。この基地には正規空母は赤城、加賀、翔鶴、そしてもう一隻の四隻しかいない。南西諸島海域を攻略中に出会った赤城と加賀は我が軍のトップレベルの強さだ。その二隻を遠征に送り出したのは、その長期遠征が難しいものであること、そして不在により翔鶴の気を引き締めさせて戦闘力の向上を刺激するためだ。正規空母以外にも軽空母や戦艦など、翔鶴よりも錬度の高いものはいるので赤城と加賀の不在にそれほどの不安を抱いていなかった。 「翔鶴一人での出撃ではない。戦慣れしている陸奥も榛名も、北上、不知火もいる。隼鷹もサポートしてくれるさ。それに今回は偵察だ。気負わなくてもいいが、適度な緊張は保っておけ――――――お前には期待しているんだ」 私は翔鶴の肩を叩いた。少しでも翔鶴を励ましたかった。しかし翔鶴の顔に陰りが差し込んだ。 「……期待しているのは、”私だけ”なのでしょうか」 一瞬喉が詰まった。翔鶴は秘書として有能だった。書類の処理も卒なくこなし、雑務も艦隊の世話もキチンとやってくれる。演習を通して戦力もあげていき、遠征でも出撃でも結果を残してきた。決して私情を挟まず私の言う通り、望む通りに行動してきた。しかし今の翔鶴は仕事仲間の枠から抜け出そうとしている。今まで何度かそういう機会があったが翔鶴は自身を抑え込んでいた。だが今は、きっと今ならその殻は破られる。 「提督は、どうして”あの子”を閉じ込めているのですか」 翔鶴は私の目を真っ直ぐに見る。その目に居心地の悪さを感じながらも私は目を逸らすことができない程身体が緊張していた。私の手はタイミングを失って翔鶴の肩に置かれたままだ。 「艦娘は深海棲艦と戦う為に生まれました。それが私たちの存在意義です。中には戦いを望まない者もいます…それでも、私たちはその為にここにいるんです。みんな求められれば戦いに赴きます。勝つために己を鍛えます。それなのに貴方は、あの子をどうして戦いから遠ざけるのですか。装備もすべて外して…出撃はおろか遠征も演習にも出さない。何故ですか」 「それは…」 「私はここに来てからまだ一ヶ月も経過していません。新参者の私に先輩たちも提督も、色々教えてくれました。装備だって強力なものを与えてくださいました… 私より遅れて入ったあの子にも同じことをしていたではありませんか。それをどうして急に止めたのですか、提督」 今まで溜めに溜めていた疑問を翔鶴は私にぶつけていた。翔鶴は私から答えを求めていた。私は、私は。 「……っ――――――」 翔鶴の顔が歪んだ。私が翔鶴の小さな肩を強く握っていたからだ。いや、握るというよりも、服越しからでも中の肉を抉り出さんばかりに爪を立てていた。 「……出撃は十二時三十分だ。他の第一メンバーに伝えろ。さぁ行け」 肩から手を離した。翔鶴は痛んだ肩を手で押さえた。 「……了解、しました」 小さく呟くと翔鶴は私に背を向けて歩き出した。私はその遠くなる背中を最後まで見送らず、何も見えない水平線を見つめていた。 →続き
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358 :3-91:2014/03/29(土) 06 06 33.52 ID S1E+yebI もう朝ですが投下します 提督×霞で「霞の早漏矯正とれーにんぐ」 ソフト淫語罵倒責め含む 当方にMの覚悟あり!という方もそうでない方も ちょっと長くなったので途中連投規制で間隔空くかもしれません 359 :提督×霞①:2014/03/29(土) 06 08 07.09 ID S1E+yebI 「ねえクズ司令官。ひとつ訊くけど、あんたって早漏でしょ」 「ち、違う……そんなことは……」 「……あたしの目を見て、本当のことを言いなさいな。早漏なんでしょう」 「ハイ、司令官早漏です……」 じっさい、いま霞が顔一面に、浴びるように司令官の白濁液をねばりつかせているのが、その何よりの証左だった。 霞は異臭のするそれを不快そうに拭いながら、とくとくと説教を始める。 「ほんっとにもう……ねえ。こんなにあっけなく射精しちゃうって、どういう了見? いい? 艦娘たちの日々の疲れを労って、時には体で“慰安”するのは、 この鎮守府ただ一人の男であるあんたの役目なのよ。 それが、こんなあっという間に暴発してて務まると思ってんの!? 正直言ってこれ、艦隊の士気に関わる問題よね?」 「おっしゃる通りです……」 そう、霞の指摘どおり、この鎮守府では司令官が艦娘の性的慰労を行うのは当たり前、という慣習があった。 この司令官とて、艦娘に求められて行為に及んだことは二度や三度ではない。 半ば無理矢理に求められては艦娘に搾られる日々。 それを見かねてか秘書艦である霞は、たまには司令官をいたわってやろうと、 この夜、彼を純粋に“気持ちよくするため”の奉仕を申し出たのである。もちろん司令官、これを二つ返事で受けた。 ところがソレを取り出して間もないうちに、わずかに擦っただけで司令官が暴発してしまった。 いわゆる過早発射である。 その速さたるや、きっとかの島風だって驚いて足を止めたに違いない。 そしてそのあまりの男としての不甲斐なさに、霞の怒髪が天を突き、今に至るのだった。 * 「これから早漏矯正訓練を始めるわ」 霞が冷ややかに言い放つ。 「返事は?」 「ハ、ハイ!」 「よろしい。せっかくだし今夜はねぎらってやろうかなんて思ってたけど、 そういうのはナシよ。はい、服全部脱いで、そこの布団に正座」 「ハイ……」 さっき霞の手であっという間に達してしまったバツの悪さもあって、ほとんど言いなり状態で霞の命令に従う司令官。 司令官が布団に座ると、霞も目の前に正座して向き合った。 ちなみに霞は服を着たままだ。 「とりあえずまずは、ちっちゃくなっちゃってるおちんちん、勃たせるわよ」 霞は言い放つと、細い腕を司令官の下半身に伸ばし、叱責されてすっかりしょげていた司令官のモノに手を添える。 「あっ……か、霞……」 まだ快感のじんとした痺れが残る部位に触れられて、司令官がうめき声を上げるが、霞は意に介さない。 「はいそこ、情けない声出さない」 片手で隠れそうな大きさに萎えてしまったソレを、霞は人差し指と中指と親指で、 つまむように持ち、くすぐるような指使いでこすこすと擦り立てていく。 単調にならないよう、ときおり先端の方にも指をすべらせ、皮の下に潜ったカリや亀頭部にも刺激をくわえる。 霞は顔射にはさすがに激怒するものの、ペニスそのものに嫌悪を抱いているわけではないらしい。丁寧な責めだった。 「ん、だいぶ硬くなってきたわね」 司令官も驚いたことに、ものの一分ほど霞の手の中でやわやわと弄ばれただけで、 彼のモノはかなり硬度を取り戻していた。砲は仰角を向き、先端を十分に露出させている。 「じゃあ最後にちょっとくわえるわよ、我慢なさい」 「え、くわえるって…うわっ!」 言うが早いか、霞は仕上げとばかりに隆起したペニスをはくっとくわえこんだ。 司令官は不意の刺激に思わず砲身ごと身体を震わせる。 霞の口淫は、今は射精させることが目的ではないので、舌も使わないごくあっさりしたものだ。 しかしその口内の湿りと、熱さと、何より普段まったく容赦を見せない秘書艦が、たとえ訓練という事情であれ、 自分に奉仕してくれている至福が、彼を否応なく昂ぶらせた。 霞は口の中でゆっくりゆっくり、スゥプをそそぐように竿に唾液をしたたらせる。 そして中のものがいよいよ最大仰角になったのを確認すると、 よけいな刺激を与えないようにそっと口から抜き、自分の唇の端のよだれを拭った。 「はい、これで準備完了ね」 「ハ、ハイ……」 たしかに今や、彼の怒張は天をも指さんぐらいにそり返り、誰が見ても臨戦態勢に変化していた。 そそり立った肉茎は期待に震えるようにひくひくと揺れ、その先端からは露のようなしたたりが垂れ、 霞の唾液と混じって全体をしっとり濡らしている。 司令官自身、たぶんあのまま霞の口内に包まれたままだったら、舌を使われなくても危なかっただろうという実感がある。 それだけに、これからの訓練と称する恐ろしい責めへの期待と、 もし耐えられなかったらどうなるのかという不安が胸にうずまいていた。 そんな心中をよそに、霞は「ちょっと借りるわよ」と言って、 司令官の脱いだ服の上にあった腕時計を取り上げ、それを左手首に巻く。 「いまからクズ司令官のための早漏矯正訓練、本番を始めるわ」 「……ハ、ハイ!」 「今晩の目標は、あたしの責めに10分間耐えることよ、いい? ちなみにもし途中で我慢できなくなっておもらししちゃったりするようなら、 どんなおしおきが来るかわかんないから、覚えときなさい」 「ハイ……」 * 「まずは手で5分間、するわよ」 霞はそう言って一方の手ですっかり熱く硬くなった剛直を握り、もう一方の腕の時計に目をやる。 「はい、スタートっ」 合図と同時に、静まりかえっていた部屋にちゅくちゅくという水音が響きだした。 その激しさは、さっきまでの萎えたモノを勃たせるだけの奉仕とは比べものにならない。 裏筋を、親指の腹で押すように強くなぞられ、 かと思うと、今度は指の輪でカリをしゅるしゅるとしごかれる。 ひとつひとつの責めに、快感が背筋をぞくぞくと這いのぼるかのようだ。 右手が竿をしごく役目に回ると、今度は左手が伸びてきて、 わずかに指を曲げた形の手のひらが亀頭の上にかぶせられ、くるくると舞い始める。まるで大道芸の傘回しだ。 亀頭をすっぽり覆った霞の手のひらの柔肉は、ただ置かれているだけでも、 尿道口、カリと敏感な部位にあますところなく性感を送り続ける。 霞の指の節が鈴口に触れ、こりこりと刺激されたとき、司令官は思わず声を漏らした。 「うあぁっ……あ、霞っ……も、もう少しゆっくり……」 「はぁ!? だらしないったら……あたしこれでも手かげんはしてるつもりよ?」 「そ、そんな……」 「いいから、お腹に力を入れて堪えなさい! さもなきゃ歴代海軍大臣の顔でも思い浮かべてがんばって萎えさせなさい」 「うぅっ……!」 結局、司令官がとったのは、霞から目をそらし、ぎゅっと目をつぶる、という方法だった。 実のところ、霞が自分のモノを一心にしごき立てている光景はあまりに扇情的すぎて、 それだけでも暴発に至りかねないような危険なモノだったからだ。 性に開放的な鎮守府で、そういう素振りを普段まったく見せない彼女が行うだけに、破壊力も大きい。 「なによ、親切に指導してあげてるのに、もうあたしの顔も見てたくないってわけ?」 ……しかしこれがかえって霞の神経を逆撫でしたらしい。 「……まあ、いいけど。じゃあこっちにも考えがあるわ」 そう言うと霞は、先端に集中していた責めを、しごき立てる動きに切り替えた。 とくとくと溢れている先走りをすくい取ると、それを竿に塗りつける。 そして根本から先端までを、容赦のないストロークで一気にしごき上げていく。 「~~~~~っっ!!!」 目をつぶっているだけに、音と感触で、霞が今何を行っているかがいっそう敏感に感じ取れてしまう。 手が上下するときに、指が小指から人差し指へと順番に力が加えられていき、 まるで搾られ射精をうながされるような感触。 ふっくらした手のひらに、ペニスをぎゅっ、ぎゅっ、と揉み込むように、 心地よく締め上げられ、こみあげる圧迫の快感。 淫猥さを煽り立てるような粘りのついた水音。 くちゅ、くちゅくちゅっ、くちゅ。 それらが激しくしごき立てられる感触と共に襲ってくるのだ。 やばい。耐えられない。 司令官がそう思った矢先。 「……はい、ちゃんと5分、我慢できたわね。ひとまず手のコースはおしまいよ」 時間終了とともに、霞は潮が引くようにあっさりと、責めを中断した。 助かった……と司令官は胸をなで下ろす。 この切り替えの早いドライさが霞の特徴でもある。 もしあのまま手の責めだけでも、10分間ぶっ通しで続けられていたら、発射しないでいるのは不可能だったろう……。 「はい、じゃあ次さっさといくわよ。口でするから5分間、堪えなさい」 * 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ霞!」 口でする、との言葉に司令官は大いにうろたえた。先ほど萎えてたのを勃たせるときに行ったあの責めを思い出したためだ。 舌すら使わないのに、あの快感。 あれを5分間手かげんなしでやられたら、我慢するどころの話ではない。 「なに? なにが『待ってくれ』なの? 先延ばしのつもり!? そういう姑息な手段をとるんなら、時間をさらに延長するわよ!」 「い、いや違う、そうじゃなくてその、霞、なんだ、あの……」 「言いたいことがあるんならはっきり言いなさい!!」 「ご、ご褒美!これに耐えきったらご褒美とかってないのか!?」 「……はぁ?」 またもや激昂しかけていた霞だったが、あまりに予想外の言葉に思わず呆れ顔を見せた。 「……ご褒美って、なによ? 何してほしいわけ?」 「た、たとえば耐えきったら霞を抱かせてくれるとか!!」 言い放った直後、司令官は部屋の空気が凍るのを感じた。 あ、これはまずいなと直感的に悟る。いつもの霞の怒りが爆発する前の静けさだ。 おそるおそる霞の顔色をうかがおうとした瞬間。 ベチィッ! 「へぶっ」 霞の平手打ちである。司令官の頬がいい角度に張られ、真っ赤なもみじが開く。 そこに悪役レスラーの追い打ちのような霞の痛罵が浴びせられた。 「……~~っのクズ!! 変態!!! そんなこと考えながらあたしの訓練を受けてたワケ!!?」 「……だ、だってホントは俺が暴発さえしなければ、させてくれるつもりだったんじゃ……」 「あたしは! あんたの溜まってる疲れをヌいてやろうとしただけ! 自分の上官を駆逐艦を抱きたがる変態に仕立て上げるつもりはないったら!!!」 いや、その理屈はおかしいと司令官は言いたかったが、とにかく霞の論理では、性的奉仕と男が女を抱くことはまったく別モノなのだろう。 ついでに駆逐艦に欲情するのはご法度らしい。酷な話である。 「ち、違うぞ霞! 俺は駆逐艦だから抱きたいんじゃなくて、お前だから…か、霞だから抱きたいんだっ!!」 「……は、はあぁ!!?」 霞、今度は本当の呆れ顔。 「そ、その、さっき思わず発射してしまったのも、霞がしてくれるっていうから嬉しすぎて……」 「と、突然なに言って……!!」 司令官がとつとつと語る告白に、今度は霞が頬を赤くする番だった。 それは霞が、司令官の言葉がただの言い逃れでなく、とっさに転げ出た本音だとなんとなく悟ったからに違いない。 「霞は……霞はこんな俺のずっと秘書艦を務めてくれるしさ、それにいつも俺にクズだの何だの言うのも、 本当は俺を鍛えようとしてくれてるからだって気づいてからは感謝してて……」 司令官自身、いきなり抱かせてくれと叫んでからの告白だったが、口にしていくうちに、自分でもこっちこそが本心なのだと気づき始めた。 霞が好きで、それだからちゃんと抱きたい。 ちゃんと抱きたいから、それにふさわしい司令官になりたいのだ。 「な、なぁ……だから霞、その、耐えきったら……」 「……まったく。いちいち言うタイミングおかしいったら……」 そう言う霞の頬は、怒りによってか照れによってか真っ赤だ。 「え? いま何て……おぶっ」 ベチィッ! 霞の平手打ちがもう片方の頬をひっぱたいた。 「あのねぇ、勘違いしてるようだから言っておくけど、あたしはあんたを鍛えてるつもりなんかないわよ!? ただみじめで情けないクズ司令に、身の程を思い知らせてやってるだけ!!」 いや、それならそもそもこんな親身になって訓練したりしないのでは……。 とは思っても、これ以上殴られたくないので口には出さない司令官である。 「……まあ、言いたいことだけはわかったわ……あたしを抱きたいって、ストレートに言ったその度胸だけは、ほ、ほめてあげる」 霞からは滅多に出ないその言葉に、司令官が思わず顔をぱっと上げた。 「……いいわよ。そのかわり、訓練は最後までやりとげなさい。 ちゃんと我慢できたら、そのときは……」 * 「じゃあいい? 10分よ。あたしが口でするから、10分間それに耐えること」 ふたたびお互い向かい合っての正座である。 さっきの手での奉仕を5分間耐えたのは、途中でゴタゴタが入ったためノーカウントとなった。 「正座だとやりづらいわ……ちょっと足広げなさい」 言われるがままに、司令官が正座の体勢から膝を60度ぐらいに開くと、そのスペースに霞が入りこんできた。 「じゃ、いくわよ……」 それが開始の合図となって、霞が司令官の太股の間へ顔をうずめた。 「うあっ……!」 今回の10分のカウントは、先ほどと違い、勃たせる時間も含めた10分となっている。 当然小さくしたままの時間が長引けばそれだけ司令官には有利だ。 しかし高揚と期待からすでに半ば大きくしていたモノを、濡らされ、ねぶられ、 口でもむもむと転がされては、耐えるどころの話ではない。 あっという間にソレはむくむくと鎌首をもたげ、霞の口に含まれたまま、最大まで育ってしまった。 そして、それと同時に霞が本格的な責めを始める。 まずは形を覚えこむように、それぞれの部位を舌がなぞる。 張り出した海綿体や、裏筋、カリ、鈴口の上を、ちろちろと、時にはひたっと舌全体をまとわりつかせて。 それが終わると、今度は余裕を見せつけるように、亀頭だけを口にふくみ、舌先や唇でソレをもてあそぶ。 敏感な部位を重点的に責められると、射精感よりも先に我慢できないくすぐったさがこみあげ、 まさに嬲られているようだった。 「ふ、ああぁぁっ……!!」 たまらず司令官は声を上げる。そうしないとこのまま雰囲気に飲まれ、 またたく間に射精に導かれてしまいそうだったからだ。 しかし霞がそれを咎めだてるわけでもない今、声は水音に混じってむなしく響くばかり。 むしろ、こんな駆逐艦の少女に責め立てられて声を震わせてしまう彼の情けなさを強調するようで、滑稽だった。 そんな司令官をよそに、霞は熱に浮かされたような献身的な責めを、命令に従う兵卒のような冷徹さで行っていく。 しばらく頬張って熱い口内で肉茎をもてあそぶ動きをしていた霞は、 つぎは頭を前後させる動きに切り替えたようだ。 一瞬、カリから下の部分までが空気にさらされる感触に司令官がとまどうと、 次の瞬間、一気に口の中へと引き戻される。 ペニス全体が、熱い湯にとっぷり浸かったような快感。 (あああぁぁっ……!) ちゅぷ、じゅぷぷ、ちゅぷ、と。 霞の頭が前後するごとに、快楽が襲い、また裸のまま外気に放り出されては、 再び快楽の洗礼に浸される感覚。まさにアメとムチだった。 (くっ、あと、あと5分……!) 今回は口淫のため、霞が時計を見ている余裕はなく、腕時計は司令官の左腕に付けられている。 追い詰められた彼が出来ることは、文字盤をひたすら見つめて、早く終わるのを祈るだけである。 「なによ、もう声を上げる余裕もなくなったワケ? クズ司令官」 ふいに、ペニスを責め立てるのを中断して、霞が話しかけてくる。 「もう早漏の単装砲、我慢できないの? 発射しちゃうつもり?」 さっき必死で照れ隠ししていたのもどこへやら、 司令官を責め立てるうちにまた霞らしさを取り戻したらしく、そんな風に煽り立ててくる。 「い、いや、お前の責めがあんまり単調で寝そうになってただけさ」 これに司令官は、軽口を叩きかえしたつもりだった。 しかしそのセリフを聞いた霞の表情が驚きに、そして次の瞬間、怒りの表情へと変わっていったのを見て、 彼は瞬時に、自分がまずいことを口走ったのを悟った。 司令官は霞に、本当の本当に容赦ない苛烈な攻撃を加える免状を与えてしまったのだ。 「……ふぅん、言うようになったじゃない」 それだけ言うと、霞は。 自分の唇を一度舌で舐めてから、司令官のペニスを口に含み、一気に吸い上げ始めた。 ちゅううぅっ、ちゅぷ、ちゅうう、と音が立てられるほどに。 「うあ、ああぁぁっ……!!」 強烈なバキュームに脳が灼けるような快感を味わわされ、ほとんど無意識に声を漏らす。 だが当然、手心は加えられない。 唾液がしたたり、淫らな音が響くのもおかまいなしの、霞のなりふりかまわない責めだった。 形のよい唇に根本はきゅうきゅうと締めつけられ、敏感な部位は絶えず舌に嬲られている。 そして熱を帯びた口内の粘膜に、根本から先端までの竿全体が圧迫されるのだ。 もはや霞の口内ぜんぶが、屈辱的な射精へと彼を送りこむために運動していると言ってよかった。 めくるめく快楽と共に、司令官は頭の中で霞の先ほどの言葉がリフレインされるのを感じる。 『もう早漏の単装砲、我慢できないの? 発射しちゃうつもり?』 終わるわけにはいかない。彼が背負っているのは、霞が罵倒の裏に込める期待なのだ(と、少なくとも司令官は信じている)。 そして何より、この責めを耐え抜いたあとでの「ご褒美」である。 ふいに、唇の締めつけが弱まる。と思うが早いか、それは砲身を上へ上へと滑っていき、カリに達して止まる。 次の瞬間、唇の中に包まれた亀頭だけが吸い上げられ、白く痺れるような快楽が弾けた。 (…………っ!!!!) 唾液でいっぱいの口内に優しく含まれ、激しく吸いたてられる感触。 神経の集まった先端だけをねぶられ、むずがゆさが昇華して快楽に生まれ変わったような感覚が花開く。 そんな中、ちろっ、とほんの気まぐれのように、霞の細い舌先が鈴口をくすぐったとき。 「……あっ…………~~っ……!!」 駄目だと思う間もなく。 ほとんど声もないまま、司令官は昇天させられていた。 とくっ、とく、とく、と精液が尿道をかけのぼっていく感触すらしっかりと感じられる。 それに誘われるまま、びゅーっ、びゅっ、と霞の口内に射精してしまう。 打ち出す度に、腰が震えるのがわかった。 「んっ……ぐっ、んむぷっ……!! んぅぅ……」 長々といじめ抜かれたため水っぽくなった粘液が放たれると、 霞は明らかな嫌悪の声を上げつつ、喉の奥で受け止める。 「~~~~~っっ!! ェホッ!!んぐッ、ケホッ!!」 そして司令官がようやく吐精を終えるやいなや、霞は彼の下半身を突き飛ばして咳きこんだ。 出されたものをしっかり飲みこんで、吐き出さなかったのは、ひとえに霞のプライドゆえだろう。 ひとしきりえづいてから、霞は司令官に向き直る。 「……っのクズ、出すんなら、一言出すって言ってからに……」 霞は途中まで言いかけた罵倒の言葉を、司令官の目を見て飲みこんだ。 「ええっと……ねぇ……まさか、泣いてんの?」 ……そのまさかだった。 霞の口淫によって絶頂に導かれた末、この司令官は。 全裸のまま、はたはたと涙を流し、背中を丸めて声もなく泣いていた。 ……あの。いきなり口の中に出されて、泣きたいのはこっちなんだけど。 霞はそんなことを思いつつも、かける言葉が見当たらずにいた。 そもそも、少女にあっけなく射精させられた大の男が次の瞬間はらはら泣き出したなどという場面において、 それにかけるべき適切な言葉が、この地上に存在するのか。 「……んーと……そんなに、あたしとしたかったワケ……?」 いろいろ考えた末に霞がかけた言葉はそれだった。 『ちゃんと我慢できたら、そのときは……“ご褒美”あげるから』 二人が先ほど交わした取り決め。霞の“訓練”を司令官が耐え抜いたあかつきには、霞が体を許すという約束。 もちろんこれは、たった今、3分ほどを残して彼が達してしまったためご破算になったけれど。 「あたしとご褒美えっち、出来なくなっちゃったから、それで泣いてるの? ……ねえ、答えなさいよ」 「う……うるさい……」 司令官、まさかの逆ギレである。 さしもの霞も、ここにきてその忍耐は切れた。 「ああ~~~っもう!!!」 怒声をあげつつ霞がとった行動は。 ぎゅむっ。 「うあっ……!」 司令官のモノを鷲づかみにすることだった。 「か、霞っ……何を……」 「クズ司令は黙ってなさい!!」 さすがにうめき声をあげた司令官を、ぴしゃりと叱って黙らせる霞。 「……もういいわ。クズ司令と話しててもちっとも要領を得ないもの。だからあたし、 こっちと――司令のおちんちんとお話することにしたわ」 そう宣言しつつ。霞は言葉どおり、司令官の顔ではなく股間を覗きこみながら、 咲き始めのつぼみに水をやるように、それに話しかけ出した。 * 「……まあ、あたしだって、クズ司令が女の子に二回も手や口でたやすく射精させられちゃったからって、 それでくやしくって泣いてるだけだなんて、さすがに思わないわ。 いっくら早漏おちんちんのみじめったらしくて情けないクズ司令官とはいえ、あたしが毎日きつい言葉ばっかり浴びせても、 ちっともへこたれないような図太い男だもの。そんなことで泣いたりしないはずよね」 息がかかるくらいの距離で、「おちんちん」に言葉をかけ続ける霞。 その一方で霞の手は、暇なときの手遊びのように司令官のペニスをもてあそんでいる。 触られ、息を吹きかけられるたびに、奇妙な形のソレが、ぴくぴくと首を振るように震えたり、 ほんの少し硬くなったり、大きくなったりする。 その様子はまるで本当に霞と「話して」いるかのようだ。 「くやしかったからじゃないでしょ? ほんとは、自分が情けないから泣きたくなっちゃったのよね? ね。だって、ちゃんとあたしの早漏おちんちんの特訓、我慢できたらあたしを抱くって、そう約束したのに。 その約束を守れないでまたおもらししちゃったもんだから、それで情けなくって泣いちゃったんでしょ?」 熱い吐息まじりに、霞の幼い声でつむがれる淫語を浴びて、また司令官の砲身はみるみる大きさを増していった。 二回も精を漏らしてしまったことなど関係ないかのごとく、その勢いはゆるぎない。 霞の方もそれを確認すると、手を上下させる動きに切り替えていく。 くちゅくちゅ、という水音とともに、やまない霞の罵倒。 「クズ司令官はきっと、男が女を抱くみたいに、ちゃんとあたしを抱きたかったのよね? ちゃんとおちんちんの辛抱ができる男になってから、あたしの駆逐艦おまんこの中におちんちんを入れて、 自分からたくさん腰を振って、それであたしを先に声をあげるくらい気持ちよくさせてから、 あたしがよがる声を聞きながら、自分もいっぱい、おちんちん気持ちよくなりたかったんでしょ?」 「あっ……く、ふあぁ……っ!!」 淫らでうぬぼれた男の心裡をあばきたてるように、霞の口調は激しさを増していく。 それとともに司令官の肉茎は霞の手の中で、赤面するみたいにカーッと灼熱する。 耐えかねた司令官が霞の頭の上で快楽の声を漏らすが、 股間に顔を近よせて「おちんちん」と会話している霞には知ったことではない。 「……あたしを抱きたくて、そのためにも早漏おちんちんの訓練がんばらなきゃいけなかったのに、 あたしの口にくわえられて、くちゅくちゅされたり、舌で舐めてもらうのが、気持ちよくってたまらなくって、 我慢できなかったのよね? それで、おちんちんに登ってくるキモチイイえっちな気分に負けちゃって、 白いおしっこびゅーびゅー、おもらししちゃったのよね?」 自分の密かに抱いていた欲望、霞に責められながら感じていた快楽のひと襞ひと襞を、そのままに言い当てられる恥辱。 そのたびに司令官の下半身は、かゆいような、もどかしいような、じくじくした快感に襲われる。 まるで霞の罵倒が矢となって、腰の奥、快楽の中心へ突き立てられるようだ。 「あたしとの約束も守れなくて、あたしを幻滅させちゃって、そんな自分が情けなくて仕方なくて…… だから何も言えなくて、ぽろぽろ泣くしか出来なくなっちゃった……違うかしら?」 そう言うとようやく「おちんちん」から目を上げて、司令官の顔を覗きこんで。 「そうなんでしょ? 司令官」 「か、霞……俺は、俺は……」 そう呟くやいなや、霞の肩を抱いて、その胸に顔をうずめる司令官。 「霞ぃ……こんな情けない司令官で、ごめん……」 くぐもった声で、彼はそう吐露する。 霞も別にそれを叱責することなく、 「はいはい。いいのよ別に……あんたが海軍始まって以来のクズ司令で、 すっごく面倒くさいヤツなの、あたしはもうよくわかってんの。それだけよ」 そんな風に言いながら、子供のように自分の胸の中に頭を預けうなだれる司令官を、 腕を回して(手は汚れているので)なんとなく抱きしめてやる。 股間にはあられもなく砲をいきり立たせて、全裸で少女に頭を抱かれる様は、それこそ情けなさの極致ではあったけれども。 何だかんだこの司令官も、自分の言葉と行動に責任を持つ男なのだ。 そうして自分の弱さのおかげでそれを果たせないときは、こうして悔やむ男なのである。 霞はその強さ弱さを、きっと十分承知しているのだった。 「なぁ、ところで霞……」 「……なに? 早漏おちんちんのクズ司令」 「そ、そろそろ、擦るのをやめてほしいんだが……」 霞の一方の手はいまだにさっきから司令官のモノに添えられて、それをちゅくちゅくと擦り上げる動きをやめないでいた。 「ダメ、やめるわけにはいかないわよ。おしおきのためなんだから」 「お、お仕置き……!?」 なるほど、霞の早漏矯正訓練を完遂できなかった司令官には、“お仕置き”が必要なのは確かだろう。 しかし、これではさっきまでの“訓練”と何が違うのか? と司令官が思った矢先。 ぷつ、ぷつ、と音を立てて、霞が余った方の手でゆっくりと、自らのシャツのボタンを外し出した。 「……か、かかか霞っ!?」 「うるさいのよ! 黙って見てなさいったら」 見てなさい、と言われなくてもきっと、司令官は目を離せなかったろう。 霞の肩の曲線から、スカートを吊っていた肩紐がするりと滑り落ちる。肘までの手袋も、リボンと靴下も、続いて布団の上へ。 そうしてシャツの前がはだけられると、海のようなブルーグリーンの下着の上下が露わになった。 ブラを外そうとするとき、霞は少しだけ羞恥の表情を浮かべる。 けれど、そのために手がもたつくようなことはなく、逆にそうした方が恥ずかしくないとでも言うように、 霞は一瞬の動作で、手早く下着を脱ぎ去った。 「さ、来なさい。司令官」 「え……うわっ!」 一糸まとわぬ姿になるが早いか、霞は司令官の首に腕を回すと、そのまま一緒に布団へと倒れ込んだ。 寝具の上、素裸のままの二人が、司令官が上、霞が下になって、折り重なる。 司令官が霞によって二度も登り詰めさせられた末、霞から引き倒されて、という経緯でさえなければ、 彼が夢にまで見たシチュエーションそのままだったに違いない。 「いい? 司令官」 状況に理解が追いつかず、口もきけずに混乱する司令官の目を見ながら、霞がささやく。 「このまま、あたしの中におちんちんを突き入れるの。 そしたらどうせ、あんたは耐えきれなくなってびゅっびゅってしゃせーしちゃうもの。 そのときのだらしないイキ顔、あたしに見せながら、イッちゃいなさい……それが、クズ司令へのおしおきよ」 上気した顔で、はずむ吐息で、霞はそう宣告する。 「か、霞っ!!? そ、それってその、もしかして俺へのご、ご褒美でぅごごっ!」 どもる司令官に、胸骨の下にするどい膝蹴りが入れられる。 「な、何度言わせんのよっ!! あ、あたしはっ! よく考えたら手や口でしてばっかりで、あんたがイくときの顔、 全然見れてないからっ! だからこうして正常位せっくすで、クズ司令の気持ちよくなっちゃったときのみっともない顔を見て、 思いっきり馬鹿にしてやろうって思っただけなんだったら!!」 「さ、左様ですか……」 一瞬、呼吸困難になるくらいのニーキックをもらいつつも、司令官はなんとなく悟る。 きっと霞の罵倒やら暴行やらは、特に理由のない暴力ではない。 それらは、ぜんぶ彼を遠慮させないための気遣いなのだ。 もしかしたら本人の照れ隠しもちょっぴり入ってるのかもしれない。 「霞……」 「な、なによ……」 膝蹴りはやりすぎたと思っているのか、霞の声は少し上ずっている。 「その、い、いいんだな……?」 「……いいも何も、お、おしおきだって言ってるじゃない。選択権はないわよ」 「そ、それじゃあ……」 そう言いつつ司令官は、霞の下半身におそるおそる指をすべらすと。 ほころびさえない、ぴったり閉じた霞の割れ目を、するするとなぞり出した。 「えっ、ちょっ……!」 幼いクリトリスはたぶん包皮ごと、割れ目の中にしまいこまれているのか。 司令官はその位置を探り出すと、二本の指ではさみ、揉み上げ、撫でまわしてやる。 「な、何やってんのっ!!? さっさと挿れなさいよっ!」 「いや、だ、だって霞のも濡らさないと挿れるどころじゃ……」 「濡らすって……だ、だからって、あっ、いやぁ、ちょっ! ダ、ダメェっ!!」 つぷっ、と。 司令官の指が一本、霞の入り口の中、せまい膣に締めつけられるようにしながら、すべりこむ。 未発達の膣内はまだそれほど快楽を受け止めるように出来てはいない。 けれどクリトリスを巻き込むように、指がつぷつぷと入っていくものだから、 その陰核への刺激が嫌でも快感を呼び起こしてしまうのだ。 霞は明らかな制止の声を上げたが、ちょっと意趣返しのつもりもあったのか、司令官はやめようとしない。 ちゅくっ。 「ん……?」 突き入れた指に湿ったものを感じて、引き抜く司令官。 見ると指を濡らしているのは、滴るほどの透明な粘液だ。 「か、霞……なぁ、もしかして最初っから濡れて……」 「は? ……な……う。うそ、バ、バカァっ!!」 霞自身、指摘されて初めて気がついたらしい。 真っ赤な顔で茫然自失している霞を見ていて、司令官は何を思ったか。 霞の中からあふれたもので濡れた自分の指を、ふと、親指でこすって確かめる。 「…………っ!!!?」 霞が声にならない声を上げる。 にゅち。指を離すと、その間に糸ができた。 「……粘ってるぞ」 「なっ……~~~~~~~ぁぁっ!! バ、バカっ!! クズ!!! 変態!!変態!!!! やめっ、やめなさいったら!!」 もはや平手を張る余裕すら失ったのか、霞はほとんど半狂乱で叫ぶ。 そこに、いつもの鬼教官然として気勢を張っている霞の姿は、ほとんど見当たらなかった。 もしかすると本当は、これが霞の“素”なのではないか。 「霞……」 「う、うるさいっ!! もう言わないでよっ! クズっ!! バカ、って、ん、んむッ……」 いつもの虚勢を張る霞も、余裕をなくしたとたん普通の恥じらう少女に戻る霞も。 どちらもたまらなくいじらしいと思ったとき、司令官は無意識に、口づけていた。 霞は一瞬息をうばわれたように固まると、一瞬目を見開いてから、唇から逃げようとする。 「んぅぅ……んむ、ぷ、はぁっ、やぁっ、ちょっと……あぁっ……! くぅぅん、んんッ……」 首をそむけて逃げる霞を、姫の後に従う従者のように追いすがって、再度口づけた。 今度は唇に舌をさしこみ絡まりあうように。 「く、んぅぅっ……んっ、ふぅぅ、んあぁぁ……」 舌を動かしてやるたびに、司令官の手の中の霞の身体は、むずがるように震え、跳ねた。 彼はその体が逃げ出さないように、せめて抱きとめてやる。 骨ばった肩や、同じく無駄な肉のないすべらかな腰に手を回したとき、 本当に言葉どおり自分は霞を“抱いている”のだと、彼は頭の奥で実感した。 「な、なぁ霞……」 「ふぅ、ぅ……な、なによ……あたしをまだ、笑いものにしたい?」 唇を離して、霞の呼吸がだいぶ落ち着いたのを見計らって、司令官は話しかける。 「いや、そうじゃなくてだな……」 ぶるん、と。司令官は自身の怒張するモノを指で持ち上げてみせる。 霞がちょっと顔を赤らめた。 「ごめん、その、もう……挿れないと、もちそうにない……」 なるほど確かに司令官の単装砲は、もうほとんど触れるか触れないかの距離にある霞の秘所の上で硬く屹立している。 さっきの霞の責めと、また自分に責められた霞の反応が、彼をここまで昂ぶらせたのだろう。 もしかすると膝蹴りすら興奮の要因だったかもしれない。 ともすれば小高い丘になっている霞のソコに触れただけで、どくどくと精を吹きこぼしてしまいそうだった。 ふ、と霞がこらえ切れないように笑い出す。 「ぷ、あっはははっ! あははっ、もう、ほんとーに、あんたって……」 「うん」 「早漏おちんちんの、クズ司令官よね」 「うん、霞の言うとおりだ」 その返事にまた霞が噴き出して、目尻の涙を拭いながら笑い声を上げる。 司令官も笑う。 自分の情けなさをさらけ出してでも、霞が本来の調子を取り戻してくれるのが何より楽しいのが、この司令官なのである。 「あはは、はぁ、はー……もー、ほんっとに、しょうがないったら……ね、そんなに、あたしの中に挿れたいの?」 「ああ……挿れたい」 「もうおちんちんの辛抱、できそうにないのね? ちっちゃいきつきつの駆逐艦のあそこの中で、たくさんおちんちん気持ちよくしたい?」 「うん……霞の中で、気持ちよくなりたい」 「ふふっ……そーよね。ほんと、見てらんないったら……」 言いながら、おずおずと自らの割れ目を、二本の指で広げてみせる霞。 「いいわよ、許可をあげるわ……あたしの中に挿れて、思う存分、おちんちんおしおきされちゃいなさい」 * 膝をM字に開き、自分の中心を指で広げていざなう霞の前で。 ひざまずきながら、そのぱっくりと空いたピンクの蜜穴に吸いこまれるように、自らの屹立を震える手であてがう司令官。 「霞……いくぞ」 「ええ、いつでも来なさい」 すでに濡れて透明に光るものを滴らせるソコを、谷型に割り開いて、司令官の剛直が押し入っていく。 霞が、注意しなければ気づかないほどに、ほんの少し顔を歪める。 ようやく首まで埋まった亀頭を押し返すように、洞の中はきつく、狭い。 どんなに霞自身は司令官のソレを受け容れようとしていても、幼い肉の抵抗は強烈だった。 「ね、ほら、もっと、奥、にぃっ……」 「あ、霞っ、わかってる……く、あぁっ……」 霞は司令官の首に手を回すように、司令官は霞の肩に手をかけるようにして。 二人は自然に、より深く繋がるための体勢になっていた。 それと同時に霞の深奥を目指す先端が、ぷつ、と、何か決定的な膜のようなものを貫く。 「いっ……は、ああぁっっ……!!」 霞の上げた声は、高く、痛切だった。 司令官は驚いて腰を止めるが、その途端、キッと向き直った霞に咎められる。 「なに、腰、止めてんのよっ……」 「い、いや、霞のためにと思って」 処女喪失の痛みで、霞の中自身がひくひくと収縮するのを、司令官は繋がっている部分から感じている。 「誰も、動きを止めていいなんて、言ってないわよっ……! あんたが腰を止めていいのは、 その早漏おちんちんが音を上げて、しゃせーしちゃったときだけなんだから……っ!!」 その言葉とともに、霞が痛みに震えていた足を持ち上げて、ぎゅっ、と両の脚で司令官の腰を抱く。 いわゆるカニ挟みの、容赦ない姿勢である。 霞がぎゅうっと、細い脚に艦娘特有の万力をこめると、後ろからの押し出す力で、 司令官は無理矢理に、霞の中へと自分の砲身を突き立てさせられた。 「う、あぁぁっ……!! 霞、霞ぃっ……!!!」 にゅく、にゅくく、と。 男を迎え入れるにはあまりに狭くきつすぎる穴。 その中に、自分の意思に関係なく挿入り込まされる感覚は、筆舌に尽くしがたかった。 分け入るたびに、お返しのようにぞぞ、ぞぞっ、とこちらの敏感な部位を刺激し、快感を与えていく襞の数々。 先ほどの霞の口の中などよりもずっと熱い、絡みつくような愛液で濡れそぼった秘肉の感触。 そしてずっぽりと肉茎の根本までが埋まると、同時に司令官の先端が、霞の最奥をこつんと小突く。 「ああっ……霞、な、んか、こりこりしたのに、当たって、うああぁっ……!!」 司令官の先っぽとちょうどキスするように当たっているのは、霞の子宮口の部分だった。 膣内のどこよりも、ひときわ固く締まった場所。 そこに自分の一番敏感な鈴口を、ぐりぐりと押しつけられている。 逃げようにも腰は押さえられていて、抜くことすら出来ない。 それが司令官の今の状況だった。 「んっ……ぜんぶ、入ったのね? ならそこ、しゃせーするのにはベストな場所じゃない? そのままガマンしないで、一番気持ちよくなったときに、ぴゅーっ、ぴゅーっ、って出しちゃったら?」 そう言いつつ、もっと強く腰を押し込むかのように、脚のホールドを強くする霞。 それでなくても、処女を突き破ったことによる達成感で高揚している司令官だ。 今の霞に拘束されているという焦燥感の中、子宮口での種付け射精をねだるような言葉を耳元でささやかれ続けては、 本当に霞の深部に押しつけられたまま、射精してしまいかねなかった。 「か、霞っ、頼む、腰、ひ、引かせてくれぇぇっ、先の方ばっかり刺激されて、このままだと、あ、くあぁっ……!!!」 「あら、おしおきに手心加えてほしいって、そう言ってるワケ? じゃあちゃんと、つかまえなくっても、しゃせーしちゃうまで腰振るって、約束できるかしら?」 「あぁぁっ……約束、約束するからっ……!! 脚、ほどいてくれないとっ……!!」 霞が痛みを耐えながらなのにも関わらず、主導権は替わらないような、そんな二人のやりとり。 あきれるように霞が脚をほどくと、司令官は入り口までペニスを引き戻す。 そして肩で息をしながら、おそるおそるの抽送を開始した。 霞の中が十分に濡れているとはいえ、相変わらず内側はキツいままだ。 あるいは本当に、霞の体そのものが彼に“おしおき”を加えているかのようだった。 「なあ、霞……霞は、その……気持ちよく、なってるのか?」 ピストンで弾む呼吸の合間に、司令官が質問する。 さっき引き抜いたとき、自らのモノに血がまとわりついていたのが、痛々しくて気がかりだったのだ。 何より、霞がただ苦痛でしかない時間を無理に平静を繕って耐え忍んでいるのなら、 それは司令官には我慢ならなかった。 「あたしが、気持ちよくなるかならないかは、んっ、おしおきに、かんけーないでしょっ」 霞がきっぱりNOと言わないのは……つまり、まったく霞自身感じていないわけではないからなのだろう。 霞は嘘は言わない性格だ。 「……関係ないってことは、霞が気持ちよくなってもいいんだな!?」 「え、あぁっ……!? ま、そうね、気持ちよくなるのは別に、んぅっ、悪いことじゃ、ないものっ……」 霞がしまったというような顔をする。 「……でもあんたに出来るの? いまだって、おちんちんがすぐにでも発射しちゃいそうなの、我慢してるんじゃない?」 「で、出来るかわからないけど、俺はせいいっぱい、霞にも気持ちよくなってほしいから、さ」 そう言うと、霞の薄い胸の真ん中に顔をうずめる司令官。 「あ、ちょっと、どっ……ドコ、舐めて……や、ああぁぁっ!!」 霞の胸の先端で、ひと突きごとに艶めかしく震えながら主張している、ピンクの突起。 司令官がそれを吸い上げたのだ。 ずちゅずちゅと太いモノが出たり入ったりしている秘裂の上で、 傘をかぶってぽつんと立っている陰核の部分にも手を伸ばす。 「ふ、やあぁぁぁっ!! あ、それ、つよすぎてっ……!! だめえぇっ……!!!」 敏感すぎて皮にくるまれている霞の秘芯を、霞自身の柔肉で挟んで揉むようにして、司令官の指が刺激してやる。 性に開放的なこの鎮守府に務めるせいか、その指使いは奇妙に器用だった。 「やぁぁっ……あぁ、ダメ、ね、こんなの、あたしばっかり気持ちよくて、 これじゃ、あんたがイッちゃうときのみっともない顔、見れないじゃないのぉっ……!!」 「だ、だいじょうぶだ霞、俺も、そろそろっ……限界、だからっ……!」 そう言うと司令官は、霞の脚を膝の部分でつかんで持ち上げ、二人の結合部が、霞の頭より上に来るようにしてみせる。 「え、ああぁっ……や、うそ、やぁぁ、こんな、姿勢っ……!!」 否が応にも霞の視界に入る、その結合部。 いままで司令官の表情にばかり注視していた霞の目の前に、自分がいま行っている行為の、 いちばん鮮烈な部分が、晒された。 自身の、処女を破られたばかりの幼い秘所が、 司令官の剛直をくわえて飲み込むようにして、それを離さないでいる様。 霞が下着を外したとき白く締まっていた恥丘は、 いまや上気したように赤く充血し、ぷっくりと熟れたように膨れている。 何より赤黒く勃起した司令官の砲が、霞のその最も秘された部分を征服し、 印を刻み込むようにして、ぐちゅぐちゅと上から突きこみ、犯しているのだ。 霞が思わず目を覆わんばかりの、卑猥な光景だった。 「霞、ほら、目、そらさないで、繋がってる部分、見てくれっ」 「や、ああぁっ、見ろって、なんで、ふ、んうっ……!」 霞が言われて目を向けると、確かに自身の征服者であるはずの司令官の怒張が、違ったものに見えてきた。 突きこむように激しく動いているのは、猛り狂っているというより、急いてるようにも見える。 ある瞬間を待ち焦がれながら、それを先延ばしにしたいみたいに。 とろとろと、その竿から滴る汗には、きっと霞からあふれ出した蜜ばかりではなくて、 ソレ自身がこらえきれずに零してしまった、先走りも混じっているだろう。 「な、霞、わかるだろっ……もう、根本の方、はち切れそうでっ……!!」 「あ、んぅっ、これが……そうなの? クズ司令のおちんちん、ん、やぁっ、あたしで、気持ちよくなっちゃってるのっ!?」 「ああ、そうだ、霞っ……! お前の中、きつくて、気持ちよすぎてっ……!!」 「ああぁぁっ……!! し、司令官も、あたしと同じ、なのぉ……っっ!!? く、ふぅぅんっ、腰のっ、ところっ…… ずくずくして、気持ちいい、えっちな気分が、登ってきて、お腹の奥、そわそわして、我慢できないっ……!??」 「うんっ……弾けそうだっ……!!」 その言葉を証明するように、司令官はさらに腰の動きを激しくする。 いまや霞の腰を宙に浮かせて抱えている司令官は、打ち付けるとき、 自身を押し込むだけでなく、霞の脚をも引っ張り、引き込むようにしていた。 二人が一番深くで繋がるたび、霞の最奥、子供を作るための部屋のドアがノックされる。 「あああぁぁっ!! んやあぁっっ、おく、奥ぅっ、当たってぇぇっ……!!!」 霞自身の性感が目覚め始めてきたのか、さっきは痛みで痺れていたためか、 同じ子宮口への責めで、今度は霞が悶えながら声を上げる。 「だめ、ダメェっ!! これ以上されたら、あたしっ、は、あぁぁっ、んぅっっ……~~~~~ぁぁああっっっ!!!!!」 霞の吐く息に合わせて痙攣し、一気にとろとろとした愛液をあふれさせる霞の膣内。 その襞に絡めとられ、収縮する動きとともに、きゅうっ、と絞られたとき、 司令官もまた絶頂していた。 「霞っ、俺も、霞と、いっしょに、ああ、く、ああぁぁっっ……!!!」 今まで腰の奥で、もどかしく疼いていたマグマ溜まりのようなソレが、 どぷどぷと、堰を切ったように霞の中にあふれ出してしまう。 霞の快楽をより深いものにするために、止めずに司令官が腰を打ち付けるたび、子宮口が鈴口にキスを繰り返す。 こりこりと先端をくすぐる感触は射精を促されているかのようで、そこに触れるたび、 司令官の先端は情けなくぴゅぅーっ、ぴゅっ、と白い精の糸を噴き出した。 そうして内側に熱いモノが放たれると、それを感じて霞が身を震わせる。 同時に霞の蜜壷も、精を少しでも奥へ飲み込むかのように蠕動する。 その霞の快楽に呼応するかのように、司令官もまた砲身を震わせ、 残りの精液を霞の中へ幾度となく漏らしてしまう。 途方もない快楽の連鎖が、どちらが果てるともなく続くかのようだった。 * 「……え~っと、あー、霞、さん? ……あの、霞?」 「うるっっっさいわね、この、クズ。今夜はあんたの方から話しかけるの、禁止」 布団の上で二人、行為の後のまま横になって。 司令官にとっては至福に等しい状況だったが、当の霞自身が、裸の背中をこちらへ向けたまま、振り向いてくれようとしない。 平手打ちこそ飛んでこないが、また霞の怒りに触れてしまった状況なのは明らかだった。 それが霞特有の癇気なのか、あるいは、女ごころ、という奴なのかは謎だったが。 ……触れるのは、OKなのだろうか。 そう思いつつ司令官は、おそるおそる、小さな肩を抱いてみる。 ピクリ、と霞が身じろぎした。 「……ねぇ、クズ司令官。あんたもしかして、『女は初めてを捧げた男には情が移って、その男の言いなりになってしまうものだ』、 なんて、そーいう下品な俗説とか信じてるワケ?」 霞の仕掛けてくるピロートークは、相変わらず辛辣である。 「いや、別に……というか霞が俺を盲目的に好きになったり、言いなりになっちゃったら、困るかな……」 「へーぇ、じゃあ、司令官はあたしがどういう風なのがお望みなの?」 けれど、今夜だけで霞の罵倒に対する受け答えだけは上達したらしい司令官。 「今のままが、いいんだ。今のままの霞が俺はいい。きっとこれから先も霞に、どやしつけられたり、はたかれたり、するだろうけど…… そうすれば俺が、お仕置きとかご褒美とか、そういう霞のお情けにすがるんじゃなくって、もっと強い男になったときに、 ちゃんと霞にふさわしいくらいの男になったぞって、自分で自分を誇れるって、そう思うから……」 「……あら」 「まー、それにきっと霞に好かれたって、こういう態度は変わんないというか、きっと前より辛く当たられるだけだし……」 「~~~~~!!??」 「お、おい霞、どうした?」 「な、なんでもないわよこのバカっ!!」 図星を隠すかのように、司令官の手を払いのける霞。 「……まあ、今まであんたのことを、何度怒鳴っても改善しやしないグズだと思ってたけど、 叱られてちゃんと前向きな風にとれるんなら、ちょっとはマシな男って思ってやってもいいわね」 そう言いながら霞、布団の上でもぞもぞと裸の胸を反らし、司令官の方へと向き直る。 「ねえ、司令官。じゃあもう一つ聞くけれど」 「うん、なんだ、霞」 「あんたは一応、あたしのことを先に気持ちよくさせちゃったワケだけど、そんなあんたが他の艦娘に、 逆に先に射精させられちゃうようだったら、あたしはどんな風に思うかわかる?」 そう言う霞の顔は、火照ったように赤く染まっている。 「コホン……ということで、ひとつ提案だけど」 「明日も早漏おちんちんの特訓、するわよね?」 * 霞の左腕に付けられた腕時計の針が、深夜を差す頃。 司令官は昨晩と同じ、裸に剥かれた姿で、布団の上に正座していた。 ただしその手は先だってと違い、縄で後ろ手に縛られている。 霞によれば無用な抵抗やなんやかやを防ぐためとのこと。 そして霞はそんな司令官の前に腰を下ろし、 その両のふっくらした足は、靴下のまま、司令官の砲身を挟みこむようにして添えられている。 「あの、霞……もう少しこう、何というか……手心というか……」 「はいはい、我慢なさいクズ司令官。よく考えたらあたし、 あんたがしゃせーしちゃうときのだらしない顔見るのに、この姿勢の方がちょうどいいのよ」 霞が足で擦り上げるごとに司令官の砲身はその仰角を増し、切なげに先走りの露を先端から垂らす。 あるいはその興奮には、霞が脚をもぞもぞさせるたび、短いスカートから見え隠れする下着も、一役買ってるかもしれなかった。 霞はそんな一挙一動に司令官が身をよじらせたり、切なそうな声を上げるのを、 どこか満足そうな顔で見つめている。 「ん、そろそろいいわね」 頃合いを見て霞が呟き、手の中のストップウォッチを10分間に設定する。 「はい、それじゃ、スタートっ」 +後書き 378 :3-91:2014/03/29(土) 07 40 48.05 ID S1E+yebI 霞の積極的な罵倒から、司令官LOVE勢に通ずるほどの愛を感じる末期 でもちょっとデレさせすぎたので、痛くなければ覚えませぬという真のマゾ霞ニストからはお叱りを受けそう とりあえず戯れなれば書き逃げにて 長々と失礼しました
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42 :2-683:2015/02/10(火) 21 38 23 ID f0bhMS82 香取は衝撃的だった 見た目と言動が だからキャラ掴みやすいんだろうけど、書くの早いよ…… こちらは非エロだけど投下させてくれ 43 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 39 10 ID f0bhMS82 「……ぁ、ひ、ひえー!! 射撃できないと思ったら、間違えてチョコ装填してました! 司令、あげます!」 自分は反応の仕方に悩んだ。 演習を行ったところ、旗艦であり秘書である戦艦比叡が、一度も発砲できなかったのだ。 自分の目で見た訳ではないから、そもそも発砲しようとしなかったのでは、と疑った。 そこで帰投する艦隊の比叡を問い質すべく岸壁で迎撃態勢でいたのだが、 艦隊解散命令してここにいるのが自分らだけになったその時。 比叡は主砲装填口から茶色の徹甲弾を取り出して私に差し出したのだ。 こら、そっぽ向いてないで此方の顔を見なさい。 そして比叡が放った科白が冒頭のそれである。 だから自分は悩んだ。 それを取り上げて叱咤すべきか、謝礼を通達すべきか。 昼食はあ号定食にすべきか、い号定食にすべきか、と言う程度の選択である。 要するに、下らない選択だ。 「あの、そう冷めた目で見られるのはつらいです」 「自業自得だ馬鹿者」 自分は下らない事で悩む為に静止しているうち、比叡は恐る恐る此方を伺った。 自分は比叡の言葉で我に返り、取り上げる選択を取った。 やはりと言うかまさかと言うか、これは茶系統に着色した徹甲弾ではなく本物のチョコレートのようだった。 「演習と言えどふざけるんじゃない。実戦なら死んでいるぞ」 「ふざけたんじゃないんですよ! 本当に間違えたんです!」 「尚更いかん!」 全く。 朝からどの艦もバレンタインだのチョコだの騒ぐし、秘書はこのような成りだし、 この鎮守府の規律は一体全体どうなっているのだ。 指揮する提督の顔が見てみたい。 「顔ですか。冗談の通じない仏頂面です」 ゴッ!! 「ったあ!」 「それ以上言うと叩くぞ」 「叩いてから言わないで下さいよぉ……」 手刀を叩き込んでやった。 元々こういう顔だし、時と場合を弁えない冗談等冗談にならない。 全く、全く、全く……。 44 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 40 48 ID f0bhMS82 「で、姉妹にはやったのか?」 「え?」 頭を擦る比叡は、私の問いに惚けた。 此奴の艦橋は的外れと言うか阿呆な電報を打つ設計のようだが、もしや受信する事さえ困難になってしまったか。 自分の中ではずっと前から"残念"と言う一言に印象が集約していたが、それは今や"無念"に変わってしまった。 比叡よ。御召艦を務めた貫禄は風化しているが、ごく一部の人は、これから先も覚えてくれる筈さ。 私は自信がない。 「なんで憐れむような目を向けられているか分かりませんけど、怒ってないんですか?」 「む、まだ説教され足りないのか」 「いえもう充分です! 姉妹で交換しましたよ。特に、お姉さまには気合もばっちり込めました!」 そうかそうか。 その場に居合わせていないから姉妹の反応が果たして喜びのものだったかは分かりかねるが、殊勝な事だ。 あげるだけでなく貰うこともできたとは嬉しかったろう。 姉妹の仲が円満なようで微笑ましい。 個性的な艦が多種多様にあるが、此奴らは皆を照らす太陽のような輝きがある。 此奴の個性を表すように弾を模ったこのチョコを姉妹に渡す場面は、此奴の笑顔と共に眩しくも想像できる。 只最低限、アルミ箔で包む等はしたほうが良いと思うのだがな。 普通は包装にも入念に気を遣う筈なのだが、どこかずれた設計である此奴にそれを求めるのは諦めた方が良さそうだ。 「よかったじゃないか。で、私へのこれには気合は入っているのかな」 「あ、はい。それなりに」 反応の仕方に悩む事なく即座に苦笑を返した。 姉への贈り物について語った先とは随分な温度差だが、これも何時もの事なので今更である。 それでも、少し、ほんの少し妬ける。ここまで慕われている此奴の姉がだ。 だから少しの悪戯心ができた。 「ふうん。気合が入りすぎて徹甲弾と間違えたか、それなり程度の気合だから間違えたか、どちらだ?」 「そ、その話はもうやめてくださいよ……」 気まずそうな顔に一変した。 此奴はこう弄くると面白い電報を打ってくれるのだ。 だからやめろと言われてもまだやめない。 「演習を疎かにしてまで砲に仕込んでおく辺り、実は入念に気合を入れたのだろう? お前は不器用に愛を告白するヒロインか」 「っ! ぁ、愛って……」 45 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 41 19 ID f0bhMS82 比叡は熱暴走を起こしたように顔を朱色に染めてそう呟いた。 なんだなんだ。本当にヒロインのようだ。比叡にしては上手く演じているな。 居眠りを隠蔽する普段の垢抜けなさを海に投棄してきたか。 な訳がない。これも隠すことすらできていない、しようともしていない本性だろう。 少しからかわれた程度でこう恥じるところこそ垢抜けない。 比叡は顔を染めながらもずいと顔を近付け訴えかけてきた。 近い。私は肩より上を後方に引く。 「それは義理ですよ! 司令には一応お世話になってますから、一応! 変な勘違いはやめてくださいよ!?」 勘違いも何もしていないから安心しろ。 只二度言う程大事か。その"一応"と言う添加物は。 逆に言えば貰えるだけ蔑ろにはされていない見方もできるので、素直に感謝しておこう。 ここで謝礼を述べずそれが仇となって蔑ろにされては目も当てられない。 「ありがとう。気持ちだけ受け取っておく」 「はい! ……はい? 今なんと」 しまった! 余計な一言まで……。 「司令、今"気持ちだけ"って言った? "気持ちだけ"って! 私が作ったチョコが食べられないんですか!?」 何故上から目線なんだ。 今時そんな常套句を使う人間は軍令部でも見た事はない。 比叡よ。お前が御召艦を務めた経歴があろうがな、他人に物を贈る時でも偉そうにするものではないぞ。 英国ではそういうものなのかもしれないが、そもそもここは日本だ。 「そんなことはどうでもいいんですよ! せっかく気合入れたのに! 特別な材料も入れたのに!」 その"特別な材料"と言うのが心配なんだ! 気合を入れるのはいいが道外れた物体まで入れていないかどうか! 見ろ。先程比叡から取り上げたままずっと手に持っているのに全く溶けていないじゃないか。普通のチョコレートか? 他に入れた材料が"愛情"とかであれば文句どころか謝礼を積み重ねるのだが、 此奴の艦橋の辞書に"愛情"という語句が書かれている等想像できないのでその可能性は視野に入らん! 然し此奴の言い分を信じるとして気合は込めて作ってくれた事に対してそのようにボロクソ言う等自分にはできない。 並に良心は備わっているからだ。 46 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 41 53 ID f0bhMS82 「い、今は昼時前だからな? 今食べたら昼食が入らないから、その後でな……」 「本当ですか? 本当ですよ!? せっかくあ……っ!」 比叡は突然口を両手で噤んだ。 どうした。"せっかく"何を入れた。 「なんでもないです! 司令、早くお昼食べましょう!」 強引に手を引っ張るな。 そんな慌てなくてもこのチョコは恐らく原型を保ち続ける。 そのチョコは姉の主砲にこっそり潜ませておく事も考えたが、 引っ付いてくる比叡と良心を前に挫折した。 覚悟して口にした徹甲弾チョコだが、造形に反して攻撃的な味と言う事はなかった。 只、甘すぎるようだ。 比叡の私への愛情が込められすぎている、と言う事にしておこう。 秘書艦の奇行も程々に、デザート付の食事を終え自分らは執務に戻った。 +後書き 47 :2-683:2015/02/10(火) 21 42 24 ID f0bhMS82 以上である! これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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夜の帳が下り、闇に包まれた鎮守府、その中の一室 既に消灯時間となり、窓から差し込む月明かりだけが僅かな光源となって布団の上で絡み合う男女を映し出している うつ伏せにされ男に組み敷かれている少女の名は初春といいこの鎮守府の秘書艦だ、普段はきっちりと後ろでポニテール条に結わえられた藤色の髪はこれまでの行為の激しさを物語るように、汗ばんだ彼女の背中の上に乱れ散ったまま貼り付いており、そして彼女自身、その特徴的な麻呂眉を歪め男にぶつけられる獣欲にひたすら耐え忍んでいた 「んん……ぅ……ん……」 ぱん、ぱん、と初春のほっそりとした腰に男のがっしりとした腰が叩きつけられ、その度に彼女は荒い息を吐き出し、布団の端を強く握りしめ、腰から送り込まれる快楽へ溺れそうになる理性を繋ぎ止めていた。 突如、男がこれまで彼女のぷっくりと…というには少し小さなお尻から手を放し、彼女の胸を掴んだ 「あっ…!んんっ……!この罰当たりめ!」 初春は思わぬ刺激に身を捩らせ、男へと喘ぎ声混じりに罵声を浴びせかける 男はそれには答えず、初春のやや駆逐艦娘としてはトップヘビー気味な膨らみを掬い上げこねくり回す。 「っ、ぅあっ!いかん、いかんのじゃぁ…」 初春の胎内はその刺激に降伏し、その精を吐き出させようと亀頭をますます締め付け吸い付ける…男は最早我慢の限界だった 初春へと完全に覆いかぶさり、一言囁く 「中に出すぞ、初春」 「い、嫌じゃ…人間の子など孕みとうない…」 息も絶え絶えに何とか逃れようと身じろぎするが、男はそうはさせまいとますます腰の動きを加速させ 「いいや」 「……っ!」 腰の奥から這い上がってきた欲望を、柔らかく包みこむ初春へと、びゅく、びゅくと吐き出していく。 「あ……」 「妊娠だけは確実にしてもらう」 「そ、そんな…いやじゃ…」 男は初春に密着し、発情しきった裸体の香りを楽しみつつ最後の一滴まで出しきったのだった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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906 :名無しの紳士提督:2015/01/31(土) 01 04 11 ID eSis4ALI 905 不幸だわ…… 加賀さんとかクールな人がそういう時に来たらグッと来るね 行動で示してくれたら惚れてしまう そしてついでに鎮守府慰安労働青葉編、投稿します 前以上に「汗」が前面に出てくることに加えて、投稿者の青葉に対するイメージがかなり出てます 要らないシリアス混じってます、前半はエロなのでご心配なく、ではいきます 907 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 04 50 ID eSis4ALI 「もう寝巻を押し上げちゃってますねえ、このまま失礼しちゃいましょうか」 青葉はしなやかに腰を折ると、そのまま東の寝巻を手慣れた様子ではだけさせる。 浴衣程度しかないために、ものの十秒もかからないうちにソレは青葉の視界にさらされた。 脱ぐ前からはっきりと分かっていた大きさは健在で、思わず青葉の口元が吊り上がる。 先端がかすかに濡れているのは、足に堕ち始めている確証であった。 「あ、青葉……やめ……」 「聞こえませ~ん。では失礼して、それ」 青葉が抵抗を聞き流し、両の足の裏がソレを挟み込んだ瞬間だった。 青葉ごと跳ね上げてしまいそうな勢いで、東の身体が痙攣したのだ。 勢いよく背中を反った勢いで腰が突きあがり、意図せずして皮がひん剥かれてしまう。 一瞬で淡い色の亀頭が露わになり、射精にも似た勢いで先走りが吹き出した。 強烈過ぎる刺激に、思わず東は青葉の足にすがるように抱き付いてしまう。 一頻り痙攣が落ち着いたところで、東は肩で息をしながら頭上を見上げる。 そこにあるのは怪しい笑みを浮かべて見下ろしている東の顔があった。 恥ずかしさに言葉も出ず、自分ですら涙が滲み始めていることに気付いていない。 しかし懇願するつもりの視線も、今の青葉には火に油でしかなかった。 「あ~ぁ、べとべとじゃないですか。これはもうお仕置きですね」 「だ、ダメだ。お題は、やるから、やめてくれ……」 「じゃあ一緒に足も舐めてください。ほら、足も寄せてあげますよ」 再び青葉の足に顔を挟まれ、言葉を失った東の口から力なく舌が這う。 ほんの舌先で、舐めるというよりもなぞるような舌使い。 どうしようもないことを悟ったような、ゆっくりとした動きだった。 続けてそのまま両足が小刻みに動き、東のソレを挟んで扱き始める。 上下に扱き、前後に擦り、時にはニーソックスを擦り付けるように。 密かな練習すらも伺わせる、妖艶で淫靡な動きに耐えることなど無理に等しい。 無論、扱かれているだけではなく、いつの間にか東自身にも変化が訪れていた。 「いつの間にかずいぶん熱心に舐めてますねえ、そんなに興奮しちゃいましたか?」 「青葉……青葉ぁ……」 「可愛いですね。もう青葉の太もも、東さんのよだれでべとべとですよ」 908 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 05 27 ID eSis4ALI 青葉のニーソックスとブルマの間の太ももは、全体がどこか粘りを伴って濡れていた。 うわ言のように青葉の名を繰り返している東の舌も、もうなぞる動きとは程遠い。 舌全体を太ももに擦り付ける動きは、対象に愛おしさすら感じさせるほど丁寧だった。 時には唇で甘噛みまでしており、お題を拒んでいた東の姿はもうどこにもない。 今の東には理性も自制心も存在していない。 あるとすれば青葉に対する忠誠心にも似た何か、そして堕とされてしまった心だった。 視界を埋め尽くしている青葉の太ももは、逆らい難い誘惑の塊のように見える。 程よく締まりながらも心地良い柔らかさに、人肌特有の呑み込まれるような温もり。 舌先に伝わる青葉の汗の味も甘美なものとなり、いつまでも舐めていたいとすら思い始めていた。 鼻腔に広がる青葉の香り、耳に届く青葉の声も、媚薬のように東の心を溶かしていく。 追い討ちのように自らのソレを扱かれる快感、今の東に「青葉の虜」以外の表現はない。 「や、ん……ニーソの中まで舐めたいんですか? 変態さんですね」 「段々青葉も、気持ち良くなってきてしまいました」 ニーソックスをずらし、東の舌が膝の裏にまで伸び始めたころ。 青葉もブルマの上から自身の秘所を弄り始め、快楽をむさぼり始めていた。 嗜虐心が気付けば青葉の中でも快楽に繋がっており、徐々に足の動きも早くなる。 しゅっ、しゅっ、上下に全体を扱けば、東の身体は細かく跳ねる。 くちゅ、くちゅ、くぐもった水音と共に足裏全体でこねくり回せば、ゆっくりと悶える。 時には指でピンポイントにカリや亀頭を責めれば、勢いよく先走りが吹き出した。 青葉の足の裏は東の先走りでびしょびしょであったが、どちらも気にするそぶりはない。 「うっ、ん、はぁぁん! 東、さん、私も、気持ちいいですぅ!」 いつの間にかくぐもった水音は一つ増えている。 青葉の秘所から響く水音は激しさを増し、我慢の限界か、ブルマの中に入っていた。 ぐちゅり、ぐちゅりと最も大きな水音を響かせながら指を激しく出し入れさせる。 愛液まみれになったブルマの色はすっかり変わり、青葉にも余裕がなくなっていた。 お互いに快感に任せて舐め、扱き、弄り、高まりベッドが揺れるほど激しさを増していた。 「青葉、俺、もうダメだ……!」 「青葉ももう、イきます、来ちゃいますう!」 「青葉、青葉……!!」 「東さん、青葉も、もう……だ、め、で……!!」 909 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 06 00 ID eSis4ALI 青葉は自らの指で達しかけた瞬間、勢いよく東の頭を抱きかかえる。 東も応えるように力一杯に青葉の足に抱きつき、込み上げてくる快感に備えた。 皮肉にも両者が達する引き金となったのは、二人がぶつかった衝撃であった。 「ああああああ~~!!」 「うっ! ぐっ、あっ!」 勢いよく身体を反らし、ビクンビクンと身体を跳ねさせる青葉。 対照的に身体を丸め、自らの身体を抱え込みながらも腰を跳ねさせる東。 稲妻が身体を駆け抜けるような、すさまじい快感が襲い掛かった。 どちらも放心状態で力なく身を投げ、しばらく動けなくなっていた。 そんな中、先に我に返ったのは東、大きく肩を上下させるほど息が切れていた。 何気なく額に手をやれば、一瞬で汗まみれになるほど大量の汗が吹き出していた。 足元には力なく投げ出された青葉の足があり、黒のニーソックスの面影はない。 自分でも信じられないほどの精液が飛び出し、ニーソックスを白濁に染めていた。 ひとまず自分のソレをしまい、飛散したものの片付けを手早く終える。 すぐにベッドの上に寝転がっている青葉に近付き、肩を叩きながら声をかけた。 「青葉。起きろ、青葉」 「う、う~ん? あぁ東さん。おはようございます」 「寝惚けてる場合か。さっさと風呂に行くぞ、お前だって汗だくのままだろ」 「あ~ん、待ってくださいよう。身体が重いんです~、それに……」 「それに、何だよ?」 東から目を逸らしながら、青葉は気恥ずかしげに口元に手をやる。 今さら何だとため息交じりに聞き返す東の耳に飛び込む、か細い青葉の声。 「ぶ、ブルマがびしょ濡れで冷たくて仕方ないんです」 「自業自得だ。衣笠が帰ってくるまでにシーツも代えなきゃいけないんだ、ほら急げ」 「嫌ですよ~、ねえ~、東さんってば~」 ごねる青葉を引きずりながら、東はシーツを片手に風呂へと急ぐ。 何があっても誰かに遭遇するわけにはいかない以上、自然と早歩きになっていた。 鎮守府に風呂は一つしかないため、お互いにバスタオルを身体に巻いて入浴する。 丑三つ時を回っているため、片方を待っている時間も余裕も存在していなかった。 910 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 07 03 ID eSis4ALI 「やれやれ、酷い目に遭った。落ち着いたか?」 「落ち着いたも何も、私は事の始まりからいつも通り――」 「あ?」 「わ、わかりました。すいません、謝るので沈めないでください!」 「分かればいい」 髪まで沈むほどに一度だけ青葉を湯船に沈めてから、しばらくお互いに言葉を発さない。 青葉が先に身体を洗い、入れ違いで身体を洗い終わるまでの間。 湯が揺れる音、シャワーを使う音、身体を洗う音、夜風が吹き抜ける音……。 その中には会話はおろか、独り言すら存在していなかった。 そしてそろそろ出ようかと、東が腰を持ち上げようとしたその時――。 「東さん。ジャーナリストが一番やっちゃいけないことって何だと思いますか?」 「ど、どうしたよ急に。そりゃあ捏造とかじゃないのか? お前やってるけど」 「そうでしょうか? 私はある意味、捏造もジャーナリストの形だと思っていますよ」 「……お前の口から出てくると胡散臭さが半端じゃないな。ちなみに答えは何だ?」 「ジャーナリストが自分の記事に対して、感情を挟んでしまうことです」 もう一度ツッコミを入れてやろうかという東の考えは、青葉の横顔にかき消された。 普段から記事を集め、調子に乗っては提督のみならず仲間にも怒られている青葉。 広報を作っているのも遊びのような一面があったが、その横顔は真剣そのもの。 東にではなく、露天風呂から見える月を見上げた表情に嘘偽りは感じ取れなかった。 持ち上げようとした腰を再び下ろして、同じように月を見上げて口を開く。 「それは何だ、捏造とは違うのか?」 「ええ、全く。捏造は悪意に満ちたものもあれば、善意に満ちたものまで様々です」 「やる人間によって変わってくるか、だがそれと感情を挟むってのは一緒じゃないか?」 「少なくとも私は違うと思います」 青葉が腰を上げ、胸から足元までタオルを垂らして身体を隠す。 湯船に腰を掛けながら、髪を耳に掛けながらも言葉は途切れない。 「捏造はある程度その記事がどんな影響を及ぼすか、書いた本人が予測できるものです」 「そうだな。本人が書きたくて書いてるんだから当然だろうよ」 「でも感情に任せて書いてしまえば、誰にも予測できない記事が出来上がってしまいます。 感情に任せてしまえば影響は予測できない、ただ感情に流された情報が事態を歪ませる」 「難しい話だ。ただそう言うってことは、青葉はやっていないんだろう?」 911 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 07 35 ID eSis4ALI やや声色を明るくした東の言葉に、青葉は視点を落として小さく首を横に振る。 力ないその姿は見ている側すら痛々しく、思わず東が息を呑んでしまっていた。 今まで一度として見たことはない、大破して帰投した時ですら見せたことのない表情。 後悔、大きく顔に書かれているような錯覚さえ覚えさせられる。 小さな涙が青葉の頬を伝ったのが見え、重苦しい雰囲気と共に言葉が続いた。 「けれど、自分で分かっていたのに、青葉は自分の感情に任せてしまいました」 「もしかして、もう何か書いたのか?」 「いいえ、記事は下書きを書いたところで破棄しました。でも今までそんな風にペンを握ったことなんてなかった。 でも青葉は、青葉は……初めて感情に任せて広報を書いてしまうところでした…… 東さん、あなたが鎮守府から離れられなくなるような、記事を……」 「おいおい」 一瞬、怒鳴りつけてやろうかと考えた東の怒りがそのまま呑み込まれる。 重苦しい雰囲気に押しつぶされたせいもあるだろう。 今まで見たことのない青葉の表情に驚いたせいもあるだろう。 どんな言葉を掛けたらいいか分からなくなったせいもあるだろう。 しかしどの理由よりも一番大きな驚きがあったのだ。 「つーか、なんでわざわざ俺がここからいなくならないようにしたんだ? 消えてほしいならお前の持ってる情報ばらまいたら、俺はすぐに殺されそうなんだが……」 青葉が首を横に振る。 東も死にたいわけではなかったが、手っ取り早い方法なのは分かっていた。 「それとも俺の評判を落とすせいか? 俺が艦娘に嫌われれば追い出されるか、まぁ十中八九処刑だと思うけど」 再び青葉が首を横に振った。 肩を上下させ、大きく東がため息をついた時。 今にもこぼれてしまいそうなほど大量に涙を浮かべた青葉の瞳が、東を振り向いた。 先ほどこぼした涙など、今堪えている涙に比べれば無いも同じなほどに。 静寂が包み込んだ露天風呂で、口火を切ったのは青葉だった。 912 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 08 15 ID eSis4ALI 「あなたを好きになっちゃったからに決まってるじゃないですか……」 そよ風にもかき消されてしまいそうなほどか細い声だった。 切なさに満ちた言葉は、ほとんど離れていない東の耳にも届くかどうか。 そんなか細い声は凄まじい衝撃となって東の鼓膜を貫き、狼狽させた。 「重巡洋艦娘として戦い、広報を書き、提督も女性の鎮守府に舞い込んだ記事の種。 最初はそんな風にしか考えてませんでした、集めた記事だって普段通り扱う気でした。 でも、でも、いつか東さんは鎮守府を離れてしまうって思ったら、止まらなくて……!」 先ほどまでの落ち込み、落ち着いていた雰囲気はどこへやら。 堰を切ったように次から次へと、青葉は抱え込んでいた言葉を吐き出していく。 「鎮守府内で問題を起こしたとしたら、慰安労働の時間が伸びるんじゃないかって…… みんなから嫌われてしまえば、私だけ見てくれるんじゃないかって…… 記事を書いていたところで今日、衣笠が遠征で、独占欲みたいな気持ちに気付けて…… 自分のことしか考えていない記事を書きそうだった自分が恥ずかしくて……」 青葉の口から嗚咽が聞こえ始めたところで、青葉の瞳は大粒の涙をこぼした。 後悔、怒り、悲哀、それだけではない大量の感情の波は東に打ち明けられているのではない。 悪いのが自分であることは分かっているという、どうしようもないジレンマ。 それでも同時に感情に任せ、涙声での最後の一言は、間違いなく東に向けられていた。 「私はジャーナリスト失格です、でも、でも……大好きです、東さん……! この鎮守府の誰よりも、誰よりもあなたが好きです……慰安労働が終わっても…… できるなら、離れたく、ないです」 「……好かれるのはいいけど、なんで俺なんだ?」 「情報を集めてる時から、あなたがどれだけ良い人なのかなんてわかってますよ 夕張さんの件も、浦風さんの件も、長波さんの件も全部知ってるんですから それだけじゃない、あなたがどれだけ優しいかなんてみんな知ってます」 そこまで言うと、青葉はゆっくり立ち上がって小さく会釈をして踵を返した。 こぼれる涙を拭いながら脱衣所に向かう背中は、重巡洋艦としてはとても悲しく小さい。 艦娘としてでも、ジャーナリストとして駆け回っている時の青葉ではない。 恋をしているただの女の子、想いを伝えた一人の少女が見せる後ろ姿だった。 やがて青葉の手が脱衣所の扉にかかった時だった。 913 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 08 52 ID eSis4ALI 「青葉。ごめんな、そんなに思われてるなんて知らなかった ちょっと無神経だったよ、好かれてる側がこんなんじゃダメなんだよな」 「いいんです、届かないものだって、知ってますから」 「……ごめん。でもな、お前が抱えてた気持ちってすげえ大事なもんだと思う! いや、むしろお前がそう思ってくれてたって分かって、俺は誇らしく思う! 一人の女の子がそんなに真剣に思ってくれるんだって、そう思えるんだ!」 「やめてください。慰めているつもりですか……?」 「違う。上手く言えないけどこれは素直な俺の気持ちで、返事にさせてくれ。 ジャーナリストの仕事も、お前の気持ちも全部伝わった、だから頼ってくれ。 俺はまだ労働期間がある、その間だけでも目いっぱい頼ってくれ。青葉!」 青葉が声を張って言い終わると、足を止めていた青葉が振り返った。 相変わらず涙は流れたままだが、うっすらと柔らかな笑みが浮かんでいるのが見える。 「……バカですか」 「な、なんだとこの野郎!」 「傷心中の女の子に言っちゃいけないこと言っているって気付いてませんね」 「え? あ、それはその、えーっと……!」 「でも、そんな不器用で優しいところ、やっぱり好きです、おやすみなさい」 青葉はそれだけ言って、一度はっきりとした笑顔と共に脱衣所に消える。 東は再び湯船に浸かり直してから部屋に戻った。 好きと告げられた青葉の言葉は、しばらく東の脳に残り続けていた。 しかし翌日から再び青葉の広報が様々な火種を呼んでいるのは別のお話。 今までと何ら変わらない、それどころか今まで以上に広報が起こす火種は大きい。 それでも元気がないよりはいいと思い続ける東に、ジャーナリストは声をかける。 「ども、恐縮です、青葉ですぅ! 一言お願いします!」 +後書き 914 :鎮守府慰安労働:2015/01/31(土) 01 10 29 ID eSis4ALI 以上で青葉編は終了です 青葉って実はかなり思慮深く広報書いてるんじゃないかなと思った結果がこれだよ! 書いてる途中で可愛く思えてきて長くなったのは内緒 ではまた これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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如月ちゃんのSSを投下します 色々な二次創作の影響なども含めた独自設定が多数ありますがご了承ください 「あぁ~ん、如月が一番なの?まぁ当然といえば当然ね。いいのいいの、あまり褒めないで」 テストの順位が学年トップということに喜ぶ少女如月。 彼女はこの地区でも評判の天才美少女である。 「みてみて~、この輝く名前。あはっ、もっと近くで見てよ」 如月が学年トップの証である金文字で書かれた自分の名前を指差しながら言う。 だが俺はそれを複雑な感情で見つめるしかなかった。 彼女はなんて頭が良いんだろう。そんな気持ちが心を暗くする。 あまりにも輝いている彼女を見ると馬鹿な自分自身に情けない思いがしてくる。 別に俺は自分の頭が悪いということに劣等感を抱いているわけではない。 勉強以外にも多くの事をやりながら勉強でも優れた成績を残せる彼女の能力が羨ましかった。 休み時間はほとんどの場合心理学についての本を読んでいて、昼休みなどの長い休み時間だと球技をしたりするなど 落ち着いた物腰ながら時に意外と活発な才女であった。 色んな人達のお役に立ちたいらしく、休日はおろか平日もボランティア活動していることがあった。 勉強が出来るというだけで頭が良いという事にはならないだろうが、 色んな所で色んな活動して賞とかも貰いながら学業でも学年トップの成績を叩き出す…… 沢山の事を高いレベルで成し遂げられるのは間違いなく頭が良いと言わざるをえないだろう。 そんな輝く彼女を見ていると何だか胸の中がもやもやとしてきた。 別に彼女の事を嫌いだとか気に入らないとか、そういうわけではない。 どうでもいい存在なら軽く流せるものである。 むしろ好きでなければどんなに楽かと思うくらい昔から大好きだった。 大好きだったがゆえに彼女に引き付けられ、そしてその輝きを見せ付けられ、力なき自分の情けなさを付き刺される。 レベルが違いすぎて彼女に釣り合わず、いつか俺から離れてしまうのではないかと思ってしまい、 ある日図書館で一種に勉強していた時、彼女は問題を解けたのに俺は問題を解くことができず、 普通なら泣くなんてことは無いはずなのに 思い詰めていて精神的に追い詰められていたためか、思わず泣き出してしまった。 「ど…どうしたの………かしら……?」 俺が突如泣き出してしまった事には如月もさすがに驚きを隠せなかったようであった。 「お兄さん……答えが空欄…」 横から無表情な女の子が見るからに答えが埋まっていない俺のノートを覗き込んで言った。 覗き込んだ少女の名前は弥生。如月の一つ下の妹であり、姉に優るとも劣らぬ天才美少女だ。 美少女だけど無表情…それも怒っているように見える上に 自分から周りに溶け込もうとすることが少なかったため周りからはいつも気を遣われていた。 如月はそんな引っ込み思案にも見える妹を引っ張っていってくれる優しいお姉さんだった。 ちなみに俺もたまに弥生を引っ張っていくことがあった。 如月と自然に会うためという意図もあったし、俺自身かわいい女の子をほったらかしにしたくない的な思いもあった。 「問題が解けなくて悔しいのね……」 「…………」 俺は何も言えなかった。否定も出来なかった。 「だったら私が勉強を教えてあげるわね。わからないことがあったら遠慮なく聞いてもいいわ」 「本当に……?」 「本当よ」 「……ありがとう……」 こんな情けない俺に優しくしてくれる如月に俺の涙は益々止まらなかった。 でも、それ以来俺の心から暗さが消えていった。 きっと如月が俺の事を悪く思っていないって感じ取れたからかもしれない。 そして夏休みに入った。部活が休みだったある日、朝から図書館で如月と一緒に数学の宿題をしていた。 一緒に宿題と言っても如月は簡単に問題を解き、余った時間で心理学の本を読んで……なくて眠っていた。 如月にしては珍しい。しかし如月の寝顔って穏やかだなあ。いつも笑みを絶やしていなかったからこれは新鮮だ。 俺はいつまでも見ていたかったが宿題をやらねばならないからと涙を飲んで勉強に集中した。 俺は中々問題が解けなかったが、如月に情けない姿は見せられないと 諦めずにわからない問題は後回しにし、教科書を見ながら問題を解いていった。 「……あー、もうこれ以上わからん!」 「ん………あら、終わったのかしら?」 如月が目を覚まし、何事もなかったかのように俺のノートを見る。 「……………………結構出来てるわね」 「そうか?答え合わせしなきゃ合ってるかどうかは…」 そう言って俺は一緒に答え合わせをした。驚いた事に如月の言った通り、解いてある問題に関してはほぼ正解していた。 間違っていた問題も如月が解説してくれた。もっとも、如月の言っている事は天才にありがちそうな概念的なものであり、 理論的ではなかったからか俺には全ては理解できなかった。 「はぁ…やっぱりわからない所はどれだけ聞いてもわからん」 「ごめんなさい、お役に立てなくて……」 「いや…気にしないでくれ…俺の頭があまり良くないだけだから…」 「そんなこと無いと思うわ。このドリルの問題、あなたは結構正解していたじゃないの! あなたはやろうとしないから出来ないだけでやればデキル子なんですっ!!」 如月はこう見えても結構負けず嫌いな所がある。双子座は負けず嫌い精神とは程遠いはずなのに。 あ、ちなみに如月の名前の由来は戦前の軍艦如月からであり、軍艦如月の進水日、 つまり海に初めて出た日の6月5日に生まれたから如月と名付けたらしい。 一方俺もどっちかと言うと負けず嫌いではある。ただ誰に対してもというわけではなく、 特定の誰かに対してという面が相当強い。 俺の場合、表も裏も蠍座の男だからか蠍座特有の一点集中力が非常にマズい方向に働き、 よりによって大好きな女の子に対する負けず嫌いな心が生まれていた。 俺が好きな子を相手にした時ほど負けず嫌いになる理由は多分その子より劣っていたら その子から好かれないんじゃないかという思い込んでしまう一種の強迫観念なんじゃないかと最近思えてきた。 はっきり言って面倒臭い人間だ。他の人に対しては負けてもそこまで気にしない…… いや、気にしないというよりもどうでもよくなってしまうといった方が正しいのかもしれない。 好きな子に対しては前述のような理由や、注目してしまうことから優劣を深く考えてしまうのだろう。 もうちょっと気にしないようにすればいいのに…… 「そもそもそのやろうとする気とか、そういったものがあまり出にくい時点でやっぱり頭が良いなんて言えないんじゃ…」 頭ではわかっていても心では理解しきれていない所とか治した方がいいのに つい打ち負かしたくなり俺は続けようとするが… ぎゅるるるるっ…… 「…………」 「…………」 口論の最中急にお腹がなった。ふと気になって時計を見たらなんと既にお昼の時間は過ぎていた。 「……こんな時間まで集中できたなんてやっぱりあなたは頭は悪くないと思うわ。 それじゃ今日はこのくらいにして、お昼に行きましょ!」 空腹だったからか、俺は如月の言葉に言い返す気も起こらず、如月に誘われるまま昼食を食べに行った。 「しかし如月はどうしてそこまで数学が得意なんだ?羨ましいよ」 オーダーして料理が来るまでの間、俺は如月に率直に疑問を聞いた。 「それはね……砲弾を撃った時の速さと相手の速さを計算したり、 魚雷を撃った時の水の抵抗がどれ程なのかを計算して確実に相手に攻撃を当てるためよ」 「…………将来自衛隊か軍隊か何かに…」 「な~んちゃって」 「ったく、冗談はやめろよ。心理学について勉強してるってのも俺を上手くおちょくるためとか言うんじゃないだろうなあ」 「それは違うわ。だって心理学とか関係なくあなたはおちょくりやすいですし…」 「何だと!」 「…私が心理学を勉強しているのはね、相手が何を求めているか、何をすれば役に立つかってのがわかりたいからよ」 ふざけた話の後に真面目な話をするというのも心理学の応用なのだろうか? 俺は何を言おうか考えている内に頼んでいたメニューがテーブルに並べられた。 料理が出た以上手を付けないのはまずいだろう。俺達は料理を食べはじめた。 「ああ、やっぱこの季節の冷し中華はおいしいなあ」 「…………」 物凄い勢いで美味しそうに冷し中華を食べる俺の姿を見た如月は自分が食べる事も忘れて半ば呆然と俺を見ていた。 「いやあ、食った食った……」 「……とても嬉しそうだったわ……そんなに美味しかったのかしら?」 「ああ、夏はやっぱり冷し中華だよな」 自信満々に言い切った俺の姿に如月は気圧されながらも何だかとても嬉しそうだった。 「そう…よかった、お食事に誘って。さっきまでとっても暗い感じだったのにご飯を食べたら急に元気になっちゃって…… あなたの笑顔を見てるとこっちまで元気になっちゃうわ」 「そうか……如月、さっきは言い過ぎてごめんな」 俺はさっきの口論の事について謝った。 「別に気にしていないわ。あなただって色々と不安とかあったりしてあんなこと言ったんでしょうし…… それにお腹が空いていたのですから苛々とするのも不思議じゃないわ」 「だけど平常な時じゃなくて非常時に取る態度や行動こそがその人の本質に近いんじゃないかと思うと…」 「もう!あなたはいつも自分を責めすぎよ!そんな姿ばかりだとこっちまで落ち込んじゃうじゃない!」 「すまない……」 「…それにね、あなたは自分を過小評価し過ぎなのよ。失敗した時の事ばかり考えているし…… それも大事だけど、まずは何事もやり出す事から始めないと。 大丈夫よ、あなたはちゃ~んと集中力はあるんだから、 もっと集中できるようになるときっと結果は出るわ」 力説する如月に俺はもう余計な事は考えないようにしようと思った。 「ところで今度の土曜日はお暇かしら?」 「んー…特に予定はないな」 「じゃあ船に乗ってちょっと離島にでも行かない?」 「離島か…でも俺達だけで行くのも親達に心配を…」 「大丈夫よ、日帰りだから。朝は少し早いけどね」 「そうか……じゃ、行くよ」 「ふふっ、ありがと…」 「ん……弥生ちゃん?」 ふと振り返ると弥生ちゃんが立っていた。 「あ…気にしないで…」 「弥生、あなたも今度の土曜、離島にでも遊びに行かない?」 「いえ…お二人の邪魔を…」 「みんなで一緒に行った方が楽しいと思うよ」 「……わかりました。一緒に行きます…」 弥生ちゃんは少し申し訳なさそうに答えた。 そういえばこの子は昔から相手に気を遣うタイプなんだよな。 自分は気を遣われることを気にしているのに。 しかし弥生ちゃんが気を遣ったということは俺が如月を好きだと気付いているか、 あるいは如月が俺に対して何か思うところがあると思っているのか。 「決まりね。それじゃ、早速水着を買いに行きましょ!あなたも一緒に来て」 「ああ」 如月に誘われて二つ返事で了承した俺。荷物持ちか何かだろうと思いあまり考えなかった。 「見て見て~、この輝く肌。あはっ、もっと近くで見てよ。どうかしら?」 ピンクのビキニを試着した如月はそう言って胸を強調するようなポーズで感想を求めた。 「……うん…綺麗だと思う……」 何だか恥ずかしくてあまりまともに見られない俺だった。 「褒めてくれてありがとう。好きよ…」 「ッ!?」 「な~んちゃって」 「くっ、からかわないでくれ」 「でもよかった、喜んでもらえて。Bカップの水着でかわいい水着ってあまりなかったから」 俺を恥ずかしがらせたいのか、そういったことは結構包み隠さず言っちゃう如月だった。 「あれ?弥生ちゃんは?」 如月と一緒に着替えた弥生ちゃんはどうしたんだろう。 「あ、ほらほら、弥生も隠れてないで見せてよ」 如月はカーテンに隠れていた弥生ちゃんを誘い出した。 弥生ちゃんの水着は水色を基調としたセパレートの水着だった。 チャームポイントの細いお腹も強調されていてなんとも可愛らしい。 「可愛らしいね」 俺は素直な感想を言った。弥生ちゃんもとっても可愛い。 もし如月がいなかったら俺は弥生ちゃんを一番に好きになっていたかもしれない。 もっとも、如月がいなければ弥生とここまで親しい関係になれたかどうかはわからないが。 「ありが…とう……嬉しい…です……」 恥ずかしがりながらも感謝の気持ちを述べる弥生ちゃん。顔もいつもより少し赤みがかっているような気がした。 「それじゃこれで決まりね」 そう言って如月達は着替え直し始めた。 土曜日、朝早く俺達は船に乗って離島に向かった。 「風が気持ちいいわね…」 「そうだなー。弥生ちゃんもそう思…弥生ちゃん!?」 「…ん……あ……ごめんなさい……」 弥生ちゃんは立ったまま眠っていた。なんとも危なっかしい。 「仕方ないわ、こんなに朝早かったんですもの…ふぁ~…」 あくびをする如月。そういえば目がとろんとしていたなあ。 「あ……ごめんなさい……」 「いや、気にはしてないよ。そういえばこの前図書館で勉強していた時も眠っていたよな。 如月にしては珍しかったよ。如月はそういう所がしっかりしているからすごいことができるって思っていたからさ」 「突発的なことがあれば予定も狂っちゃうわ」 「そこら辺も含めて余裕あると思っていたけどな。まあいいや。それじゃコーヒーでも飲まないか」 「コーヒーは…ちょっと苦手……」 「それにコーヒーなんて飲んだらお花を摘みに行きたくなっちゃうわ」 俺はわかったようなわからんような、そんな顔をしながら話題を変えた。 「しかし平和だなあ。とても恐怖の大王が世界を滅ぼすとは思えないよ」 「恐怖の大王って…そんなの信じてるんだ」 「ノートルダムとかいう預言者が言っていただろ。1999年の7月に恐怖の大王が世界を滅ぼすとかさ」 「ノートルダム?」 「ああ、ラテン語でノストラダムスと言うんだ。二万年前のアトランティスの人間じゃないと思う」 「よくわからないわ……」 そりゃあ漫画の知識だからだ。それも如月が買うような漫画ではない。 如月が俺の家に来て勝手に読むとかで知ったりする可能性もあるけど。 ……ん?海の上に誰か立っている?いやそんなはずはない。きっと蜃気楼だ。そうに違いな… 「え…あれは……」 “それ”をみた如月は驚いた顔だった。そしてその一瞬の後 「危ないっ!」 珍しく声を張り上げた弥生ちゃんが俺達の前に立ち、直後爆発のようなものに吹き飛ばされる。 俺は吹き飛ばされた弥生ちゃんに駆け寄った。弥生ちゃんは痛そうに呻いていた。 よく見たら弥生ちゃんは弥生の通っている学校の制服を着ていた。 だがそれはボロボロな上に金属片みたいなものも散らばっている。 「みんな、逃げて!!」 如月が声をあげて叫ぶ。 「待てよ、一体何が…?」 俺は疑問を聞こうとして、ふと如月が見つめていた方向に目をやった。 そこには異様なまでに白い肌をした女の子… 頭に得体の知れない化け物みたいな帽子を被った女の子が立っていた。彼女も服がボロボロだ。 「まさかもうこんなに…狙いは私達?」 「一体何なんだよ、あれはっ!」 「みんな逃げて!!ここは私が何とかするわ!!」 いつも穏やかな物腰だった如月にはありえないような口調。それに圧倒され、 俺は弥生ちゃんを抱え、回りのみんなと一緒にその場から逃げ出した。 船内に入る直前、如月が心配で如月の方に目をやった。 如月の服はボロボロではあったが、俺達の学校の女子の制服に着替えられていた。 それに船の一部分のような形のものを背負っていた。 「うぅ……如月……」 「無理するな!」 「でも、如月一人じゃ…」 「本当に何なんだよあれは!」 「あれは…深海棲艦……」 「しんかいせいかん?」 「如月も大破してるから…助けに…行かないと…」 「じゃあ俺が助けに…」 「ダメ!……普通の人間じゃ、深海棲艦には何も……」 「新幹線だか何だか知らないけど、このまま黙っていられるか!」 俺はお約束みたいな言い間違いをしながら弥生ちゃんの制止も無視して如月のもとへ向かった。 先程のギャグ的な言い間違いなど言えるような状況と言えないほどそこは恐ろしい現場であった。 甲板は荒れ果て、如月は服がさっきより破ている状態で倒れていた。 これは映画の撮影かなんかじゃないかと思ったが先程避難勧告が出ていたことを考えたらそれはない。 ならば夢を見ているのか?それも違う。俺は昨日早く眠りについた上に今日はコーヒーを二杯も飲んでいた。 だからこれは今現実に起きている出来事なのだ。 倒れている如月に手に持った杖でトドメを刺さんと言わんばかりに化け物みたいな女は近付いていった。 このままでは如月が!そう思った俺は先程拾っていたデッキブラシを構えながら気付かれぬよう近付いた。 相手は如月に気を取られているのかこちらに気付いてないようだった。デッキブラシに力を込めながら背後から近付く俺。 化け物女が如月にトドメを刺そうと杖を掲げたその瞬間、俺は全力でスイングした。 化け物女は驚いた声をあげながらよろめいた。腕の力だけではなく、腰や全身を使ってスイングしたのだ。 どんな奴でも背後から気付かれぬ内に攻撃されて平静ではいられないものなんだな。 俺はとにかく叩き続けた。好きな女の子を酷い目にあわされて黙っているわけにはいかなかった。 だが攻撃もむなしく俺は化け物に逆に杖で殴り飛ばされた。 「うおぁっ!」 殴り飛ばされる直前辛うじて避けたものの完全には避け切れず攻撃が俺を掠めた。 だがそれでも相当なものだった。少し触れただけなのに衝撃波か何かによって弾き飛ばされた。 「ぐわあぁぁっ!!」 俺は何とか頭は打たなかったものの左手を床に打ち付けてしまった。激しい痛みが走った。 俺は恐怖した。人間ではこの化け物に勝てないと。 「くっそーっ!」 だが俺は自らを奮い立たすかのように声をあげて必死に抵抗した。落ちていた金属片を片っ端から投げつけた。 しかし野球やってるとはいえ狙いをつけて投げたわけじゃないから上手く当たらない。 もっとも、仮に当たったとしても大したダメージは与えられないだろうが…… 「くっそっ!!」 「………」 化け物は自らの無力さに叫ぶ俺にトドメを刺そうと杖を振り上げた。その瞬間だった。 ドゴォォォォン!! 化け物の背後で爆発が起きた…いや、化け物の背中が爆発した。 倒れる化け物。その背後には如月と同じ格好… だがボロボロの如月と違って綺麗な身なりのショートカットの少女が 小さな大砲のようなものを構えながら如月を庇うかのように立っていた。 「間に合った………」 「き……君は……?」 「あなたでは如月を守れない……幸せにできない…………」 「な、何を……」 「やはり私じゃなければ…この子を…」 ショートカットの少女はこちらの質問に答えようとせず、 僅かに蔑むかのような目で俺を見ながら意味のわからぬ独り言を呟いていた。 「そうだ、如月は!?」 「…………」 「大丈夫…少し傷があるけど… 艤装が大破して激しく見えるけど命に別状はないわ… 今は気を失っているだけ……」 「……それならいいけど………あいつらは一体何なんだよ!!それに君も!!!」 俺はあまりにも気になる疑問を率直にぶつけるしかないのだった。 「心配かけてごめんね。もう大丈夫よ。弥生も元気になったし」 あれから一週間。俺達の…いや、世界の状況は一変した。 深海棲艦という未知なる化け物が世界各地の海で暴れ回り、海路だけでなく空路すら断絶させられていた。 深海棲艦は既存の兵器等がまったく歯が立たない存在で、 その正体は第二次世界大戦の亡者達(人だけではなく艦等のモノも含む)が世界中の悪意と融合した存在と思われている。 そしてその深海棲艦に対抗できるのは、同じく第二次世界大戦の亡者の力を借りた艦娘という存在だけだった。 「はっきり言って今でも信じがたいけど……でもあれを見てしまった以上信じなきゃいけないだろうな。 それに世界中でも暴れているってのがメディアの報道でもわかるし。 けど実はあの時よりずっと前から深海棲艦ってのがいたんだな」 「ごめんなさい、隠していて……でもあの時は今ほど深海棲艦は出没してなかったの。 一般的には精々ネッシーを見たとかそういった程度の認識だったのよ」 「まったく……預言者ももうちょっと気を利かせて対策でも見つけてくれたらよかったのに……」 ノストラダムスの預言が見事的中した形で深海棲艦が現れたわけだ。 だがその預言があったために深海棲艦という存在が終末思想が蔓延っていた世界にすんなりと認められ、 それに対抗する艦娘という存在もあまり抵抗なく一緒に認められた…のだと思う。 ちなみにアンゴルモアとかいうのがいるかどうかは知りません。 「深海棲艦が確認されて、その後艦娘という唯一の対抗策が生まれたわ。 艦娘はその名の通り女性しかなれないもの。でも女性なら多かれ少なかれ誰でもなれる可能性はあるの。 私と弥生は10歳になった時に艦娘の素質があると教えられて艦娘になったのよ。 それからは人知れず訓練を重ね、秘密裏に深海棲艦と戦い続けていたのよ」 「そうか……………………」 俺は二の句が接げなかった。 彼女達の、ボランティアとかそんな話を超えた言わば使命の過酷さ、 そんな中でさえ学生としての本分を最高の形で成し遂げる力。 俺は恵まれた中でただ目的もなく毎日を過ごしている自分自身に怒りにも近い感情が湧き、 その感情を発散させるかのように飲みかけのはちみつレモンを一気に飲み干した。 「しっかし如月って本当に何でも出来るよなあ。そんなとんでもない敵と戦いながら、 勉強とか、その他色々なことだってちゃんと出来てるんだからさ」 如月は学年で一番頭が良いと言えるくらい頭脳明晰であり、多くの章を貰っていて、嫉妬したくなるくらい輝いている。 そんな彼女の名前を知らない者はいないと言いたくなるくらい有名だが、 彼女が名前を残そうとしているのは、彼女が悲劇の駆逐艦如月の魂を継ぐ者だからではないかと思えてきた。 駆逐艦如月は、かつて起こったあの忌ま忌ましい戦争で何の活躍も出来ぬまま沈んでいった。 知られていないというだけなら他にもたくさんの艦があるのだが、 他の艦は多少なりとも戦いでの活躍があるものの、駆逐艦如月にはそういった話は本当に何もない。 だからこそ、何の活躍も出来ず忘れ去られていった駆逐艦如月の無念が一人の少女に宿り、 今の時代にこの世界で名を残そうとしている…… 如月が有名になろうとしているかのごとく頑張っていたのはそんな理由があるのかもしれない ……俺はそう思っている。もちろん俺の勝手な想像だから実際のところはどうなのかわからないのだが…… 「まあ結構大変だったけどね」 ……あれ?いつもと態度が違うぞ。いつもなら当然だと言わんばかりに この年齢の女の子としてはある方な胸を張っているのに。 「私だって出来ないこととか、他の人に負けることだってあるわ」 負けず嫌いなのに弱音を吐くなんて… 「あなたは自分に自信が持てないみたいだけど、もっと自信を持って。だってあなたは強いんだもの」 「強い…って俺には戦う力なんてないよ。あの時だって全然役に立たなかったし…」 「違うわ。そうじゃないの……深海棲艦は強い。私だって戦っていてあまり無事ではない時もあるわ。 そんなのには普通の人間なんかじゃ手も足も出ないわ。でもあなたは勇敢に立ち向かった。 それは私を守りたかったからじゃないの?」 「…………」 「あはっ、あなたったらすぐに顔に出るんだから」 如月には敵いそうにないな。 「でも守りきれなかった……あの子にダメ出しされてしまうくらい……」 「あの子……睦月のことかしら?」 「ショートカットの女の子だったかな」 「そうよ睦月よ。その子がどうかしたの?」 「あの子、俺を見て守れないとかなんとか……」 「あの子はね、小さい頃に両親と妹を深海棲艦に殺されたの」 「なんだって!?」 「その頃は深海棲艦の存在は公じゃなかったけど、あの子を助けて引き取ったのが深海棲艦を研究し対抗していた人達なの。 彼らから話を聞いた睦月は深海棲艦への復讐の為に艦娘になったって聞いたわ。私が艦娘になった年齢よりも幼い年齢でね…… だからかしら。私の事を妹のように扱っていたわ。私が『如月』であの子が『睦月』である事と関係あるのかもね…」 睦月…って子はとにかく如月が大切な存在なんだな。 もしかしたら俺が想う以上に如月を大事に想っているのかもしれない…… 「あなたと同じくらい私の事を思っているのかもしれないわね」 俺の考えを見透かされたかのような……!?如月は俺の気持ちを知っているのか!? 「睦月は戦いの中でいつも私を守ってくれた。そしてあの時のあなたから睦月と同じくらい私への想いを感じたわ。 実はね、今までもあなたの気持ちには薄々気付いていたの。別に嫌じゃなかったし、結構楽しかったわ。 でもあの日あの時、命をかけて私を守ろうとした。 あの時からなんだか私の心がちょっとおかしくなっちゃったみたい。 もしかしたら恋しちゃったのかもしれないわね…… ……後悔はしたくないわ。だから聞いて。私と……………………セックス…………して…………」 ……………………は? 思わずそう言いたくなるくらい俺は耳を疑った。 「ソレって…つまり赤ちゃんを作るってことだろう?俺達がそんな…」 「それもそうだけど、でもそれ以外に愛を確かめ合うって意味もあるわね」 俺も男の子だ。そういったことに興味がないわけではない。というか凄く興味深々である。 そういうことは気持ちいい事って聞いたから一度はやってみたいと思ったことはある。だけど………… 「心配しなくても今日は大丈夫な日だから」 「大丈夫とかそうでないとか……そういう問題なのか?」 いざそんな場面になるとその気になれなかった。 嫌という意味ではなく、何故という意味もあったし、 もしもの時の事や未知の行為への不安などもあった。 「…………私達ね、あなたとお別れしなくちゃならないのよ……」 「…………え?」 如月が目を潤ませながら言った。 「深海棲艦が現れ、その存在が公になって艦娘達は横須賀の鎮守府へ行かなくちゃいけなくなったの。 だからあなたとはもう二度と会えなくなるかもしれない……」 「そんなこと…」 「私達艦娘は深海棲艦と戦う。戦うということは場合によっては死んじゃうかもしれないのよ。 だから今しかないの。あなたとの思い出を作ること、 そして、あなたの心の中に私を刻み付けることができるのは……」 如月は多分…いや間違いなく覚悟を決めていた…のかもしれない。 俺は涙を流していた如月を信じ、その想いを受け止め、そして………… 「ん………………」 如月の唇に自分の唇を重ねた。 それはとても暖かく、柔らかく、幸せなものだった。 初めてのキスはレモン味という話を聞いたことあるけど、 さっきまで飲んでいたはちみつレモンのせいか、本当にそんな味がした。 「そう…そこよ……」 俺は如月に導かれるままに彼女の股に…初めて見た女性のあそこにちんちんの先端を当てた。 皮をかぶせていたまま当てていたが、こうやってするものと言われて如月によって剥かれた。 「本当にいいのか……」 「い、いつでも…大丈夫…ですわ……」 俺にも余裕はなかったのだが如月も余裕がなさそうなのは言葉から感じ取れた。 「じゃあ…行くぞ…!」 俺はあえて興味本位の感情を強く出して迷いを捨て、如月から求めているんだと自分に心の中で言い聞かせ、 ちんちんに力を入れて進めようとした。 だが如月のそこは阻むかのように俺を受け入れようとしなかった。 如月は少し痛がっていたが、俺は余裕なんてなかったため力任せに何回も突いた。 如月の我慢混じりの小さな悲鳴が聞こえたが、気にせずに何回も繰り返した。 そのうちぬるぬるした感触とおしっこをしたくなるような感覚に似たものを感じるようになったがまだ入らなかった。 俺は一旦腰を止めた。如月が少しきょとんとした感じの顔になった気がしたが、 その間に俺は力を溜め、そして一気に突っ込んだ。 ブツッ!!!! 何かが破れるような感じと音がして、俺のちんちんは如月の中に入っていった。 「あっ!!ぅ……ぐっ……!!」 如月は大声をあげるもすぐさま我慢した。 我慢した時に力が入ったからなのかはわからないが 如月の中に入っていった俺のちんちんが強い力で締め付けられた。 その瞬間何かが解放されるような感覚がした。 びゅるっ…… 音にするならそんな風な、そういう感覚が次に来た。 おしっことは違う、なんだか気持ちいい感覚が続いた。これが射精というものだろうか。 知識としてはあった俺だったが、実際にそうなったことは記憶の限りでは今までなかったのだ。 俺が気持ち良さを味わいながらも考えている内にそれは終わった。 「はあ…はあ…」 「っ…………」 「………如月、大丈夫か!?」 全てが終わって冷静になった俺は目の前で複雑な表情をしていた如月の心配をした。 「大丈夫……ですわ………」 どう考えても大丈夫という気がしなかった。 「なにもかも…初めてですもの……初めては…痛いもの…だから………」 痛いもの…………俺はちんちんを入れた場所を見た。そこからは赤い血が流れていたからだ。 「如月っ!ごめん!」 俺は謝った。如月を傷つけてしまったと思ったからだ。 「気持ち……良かった……?」 如月は気にしていないかのように俺に質問を投げかけてきた。 正直言って今の如月を見ていると自分だけが気持ち良かったとは言い難かったが、 気持ち良くなかったと嘘をついてしまえば痛みに耐えてくれた如月を傷つけてしまう。 俺は正直に気持ち良かったと答えた。 「良かった…………」 如月は涙を流しながらも笑みを浮かべた。それは嬉し泣きをしているようにも見えた。 「それじゃすぐ抜く…」 「抜かないで!」 「っ……いや、でも如月が…」 「私は大丈夫よ…それにあなただってまだやり足りないみたいだし……おちんちん、まだ硬いわよ」 「……わかったよ……」 俺は如月に言われた通りちんちんを抜かなかった。 「……動かないの?」 「動く?」 俺は如月をぎゅっと抱きしめたまま動かなかった。 「そう…抜ききらない程度に抜いて、もう一度入れて、また抜ききらない程度に抜いて……それの繰り返しよ」 「そうだったのか……」 入れるだけのものだと思い、動くものとは知らなかった。 俺は如月を傷つけないようにちんちんをゆっくりと引いた。 擦れた感覚がとても気持ち良く、思わず突き入れてしまった。 「っ……!」 「あっ、ごっ、ごめん!!」 「…いいのよ……続けて………」 「ああ……」 如月に言われるがまま腰を動かした。如月を気遣うかのように最初はゆっくりと快感を我慢しながらだったが、 如月の声が我慢しきれなかった悲鳴のようなものではなくなってきて徐々に動きを激しくした。 そして俺は再びあの感覚に襲われた。 びゅるるっ!! 精液を再び如月の中に出していた。 今度は奥深くに出すように腰を強く押し付け、如月を強く抱きしめていた。 如月も俺の体を力いっぱいぎゅっとしていた。 「あなたの気持ち良かったっていう証がこんなにたくさん…ありがとう…… 私も好きよ…………大好き………………」 お互いに何回も何回も求め合った。 最後の方は俺は気づかいなどなしに自分の快楽の為だけに腰を振っていた。 だが如月は俺を受け入れてくれていた。その顔には笑みが浮かんでいた。 そして俺への好意の言葉はいつものような冗談めいたものではなく、 声にならないような、切ない涙声が俺の心を震わせた。 「ギリギリまで一緒にいたい……」 それは俺も同じだった。本当は如月を戦いに行かせたくない。 危険な目に会ってほしくない。変わらぬ日常をずっと一緒に過ごしていたい。 だけど、彼女が戦わなければ他のみんなの変わらぬ日常が壊されてしまう。 子供のような理屈なんかで彼女を止めることなんてできやしない。 だから、今この瞬間を大事にしたかった。 全てが終わった後も如月と繋がり合っているこの瞬間を…… 「今日のこと……一生忘れないわ…… だから……あなたに、今は一つだけお願いがあるの…………」 『今は』……最後に、ではないのはまた会える日を信じていたからだろう。 そして、その言葉は俺にとって一生忘れられない言葉だった………… ―如月のこと…忘れないでね…― 《終》 +後書き 897 :名無しの紳士提督:2015/01/29(木) 20 16 34 ID UtuOToxs 以上です 精神的に微妙なときに書きかけていたものを形にしました 相手を提督以外で書くのは初めてですが 子供的な考えとかの表現が上手くできたかわかりません それでは これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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用語集 kome/namaに関する様々な用語を集めました。 広義の艦これ・kome・namaに当てはまる用語を追加していきます。 うーちゃんねる エル。 おじ おじ持ち おみくじ 格付けチェック 角度 かっぷろ 顔面セーフ 基地おじ 吉祥寺 岐阜 GIF班 草ちゃん 屈伸 股間する kome kome杯 ssgr 3大霊峰 失礼、まみまみた 品川 痔主 私物 人工沼 新人 すばらしい すま回線 スレwiki そほい DASH タッチ割り 縦読み ダメコン 茶番 ッソ つゆ 天然沼 どこいな 流れ来てるぞ NYA nama nama主 numa ファイナルソード ふぁっく 振り返り動画 ぺち へんたいふしんしゃさん 保育園の引率 まるおば 右上・右下 もろちん 闇落ち 夜戦輪形陣 ゅ 64戦隊 ロジハラ ワクワクシークヮーサー
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前回の話 ひどい熱帯夜だ。 唯でさえ脂汗が滲み出る程緊迫した作戦が、こんな時に発令されるとは。 やっとの思いでAL、MI作戦が終結したかと思えばこれだ。 手拭いで額やら頬に伝う汗を、彼らの仕業であるかのように鬱陶しく払う。 敵の彼らも中々に頭の切れる連中のようだが、 念には念を入れて最終兵器を出し惜しみして留守番させていたのが功を成した。 骨の折れる作戦だったが、 お陰で秘書艦に待機命令を出し続けた事を糾弾されなくなったのは、果たして喜ぶべきところか……。 何にせよ、睡眠時間さえ大幅に削られたこの作戦も遂に終止符を打つ事が出来たと言えよう。 先程入ってきた通信によると、もう電探には敵艦隊の脈が全く現れなくなったらしい。 だからこうして精神的にも身体的にもガタが来ている体を、 舗装された堤防に精一杯足を踏みしめて支え、艦隊帰投を今かと待ち構えているのだ。 何でもない単なる潮風にさえともすれば倒されそうだが堪える。 艦隊面子は自分なんかよりも余程疲弊しているのだ。 …………………… ………… …… 共に待機していた艦が、早々と担架に重量級戦艦三隻と軽空母二隻を乗せて去って行った。 これまでにない甚大な被害であるが、代わりに旗艦大井だけは被弾を完全に免れていた。 と言うのも艦隊決戦の勝敗を最も左右するのはその旗艦であり、 旗艦にだけは何としてでも被害が及ばないように指揮していたからだ。 何の反発もなく作戦内容を随伴艦に刷り込ませる事が出来たが、やはり心苦しい。 休みたいだけ休んでくれ。あいすくりんを進呈してもいい。 そして今、波打つ堤防の上では自分と第一艦隊旗艦大井だけが残されている。 「…………」 大井は敵艦隊を撃滅させた直後から終始呆然とした様子だった。 いつもの凛々しさはない。 大井の目は焦点が合っているのかいないのか、私の方を向いているのに見ているようには見えない。 「……ていとく?」 魂でも抜けたような平坦な声色だ。 大丈夫か。私が分かるか。 「作戦、終わったんですか……?」 嗚呼、終わったんだよ。 お前ら全員帰ってきたんだよ。 「そう……はあ……っ」 どさっ。 膝から崩れ落ちそうになった大井を、自分の体で受け止め支える。 随伴艦の姿がある今まで懸命に堪えていた物が遂に壊れたのだろう。 尚も崩れそうな程身体に力が入らないらしく、抱え方を工夫せねばならなかった。 密着し、腰に手を回す事になってしまうが許せ。 背の艤装が少し邪魔だ。 「敵、本当に撃滅させられたんですか……?」 それはお前が一番分かっているだろう。 通信でお前が直々に、あるだけの全ての魚雷を敵旗艦に命中させ撃沈を確認したと報告してきたじゃないか。 戦艦には探照灯も装備させていたから見えたのだろう? 「そう……そうよね……」 力が入らない腕を上げて、大井は私の背に時間をかけて手を回した。 私の存在を確かめ、しがみつくように。 大井の両手や声は小さく震えている。 「ごめんなさい、提督……もう少し、このまま……」 分かった。 棟に戻りたくなったらいつでも言うんだぞ。 歩けないなら負ぶってやる。背の艤装の重さが見た目相応でなければの話だが。 「っふふ、提督には無理ですよ……っ」 大井は皮肉って一瞬笑ったかと思いきや、身体で嗚咽を上げる。 「っ……、ふ、……ぅ、ひっく……」 私の背に回された両手は一際大きく震え上がり、 捕まえた物を決して逃がさない具合に落ち着きなくぎゅっと私の背の上着を掴んだ。 きっと大井は、託された大き過ぎる期待と、湧き出る不安やプレッシャーに押し潰されないよう、 自分を保つ事で一杯一杯だったのだろう。 強力な兵器である鉄の塊を背負い、ただっ広い海洋を駆け抜けて来たと言っても、 この震える華奢な肩と、やや細めの腕と、大きくない手をいっぺんに感じてしまっては、 罪悪感がダムのように押し出される。 償いとかそういう事ではないが、出来るだけ落ち着かせようと手から腕まで使って頭を優しく撫でる。 「ぅ……ん、すん……ひっく、うう……」 よく帰ってきてくれた。おかえり。 「っ、作戦が悪い、のよ……、他の艦にっ、あんなに被弾させて、ぐすっ……」 悪かった。悪かった。 …………………… ………… …… 「……ん、……」 まだ窓から明るい光は射し込んでいなかった。 瞼が開き、敷地内の遠い明かりを頼りに最初に入ってくるは、天井を向いて寝息を立てるあの人の姿。 重くなくやけにはっきりした意識を頼りに眠りにつく時の状態がどのようなものだったか、 それは見ていた筈の朧げな夢の内容よりずっと回顧しやすいのだった。 ――なんで離れてるのよ―― この人と私の疲れに疲れきった精神をどう癒すかの審議の結果、 この夜の暑さ構わず抱き合って共に意識を投げ打ったというのに。 この人の体温が離れてしまったら寝心地に違いが生じて当たり前。 魚雷の直径程度に上体を浮かせてこの人の顔に影を落としてみても、この人は睡魔に取り憑かれたままのようだ。 寝返りでも打ったのか。 私よりも睡魔が大事か。 その可愛らしくも憎たらしい顔を歪ませてやりたい、苛めてやりたい、といった欲望に身を焦がす私に罪はない筈だ。 私の安眠妨害の原因は、その安眠をもたらしていた提督そのものなのだから。 再び粗末な布団に身を預け、追いかけるように提督に身を寄せる。 この人の肩に手を添え、自然と目の前に来た耳に風を送ってみる。 ふーっ。 「…………」 駄目か。 しかし逆にこれだけで起きられたらそれはそれでつまらない。 と言うか、まさかとは思うが絶命してはいないか。 とんでもない事を真剣味皆無で考え、再度上体を起こしこの人の心臓部分に私の耳を宛てがう。 念のため体重はかけないように。 とくん。とくん。 そこには、憑き物から解放されたように穏やかな脈があった。 一緒に僅かに聞こえる呼吸も長いものであった。 自然と私の呼吸をそれに合わせると、失われた一体感が少しだけ取り戻せた気がする。 だがまだ足りない。 浮かせている上体からひっくり返した砂時計のように少しずつ力を抜き、遂にはこの人の胸に完全に頭を預けてしまう。 どくん。どくん。 音に同期して私の頭は小さく突かれる。 温かい。 ――よかったですね、私が大型艦じゃなくて―― 重くないようで、この人の鼓動間隔は何ら変わる事はなかった。 思わず永遠に委ねてしまいそうになるが我慢。 そっと頭を上げ、この人の耳元に回帰する。 舌を突き出し、この耳の外周から耳たぶまでを舌先でなぞる。 つぅー……。 「…………」 よっぽど疲れているらしい。 となると、この人がどこまで寝ていられるか興味をそそられるもので、 私がもう一度眠りに意識を投じる考えはもう跡形もなく消え失せていた。 本気でこの耳に悪戯する事を決め、宣戦布告の意味で口付けから入る。 「……ん、ちゅ」 「ちゅ、ちゅく、……ちゅっ、ちゅー……、んん……」 「んちゅっ、はぁ……」 しっかりとした布告になっただろう。 もう伝聞で聞いた真珠湾のような不意打ち攻撃ではなくなった。 この耳に囁きかけ、口内に唾液を分泌させる。 攻撃手段として口付けだけでなく、舐めや啜りやしゃぶりも落としてやる為だ。 「起きないでくださいねー……。……んちゅっ、はぁ、……ふぅぃい、ちゅくっ」 「ちゅちゅ、ちゅーっ、はぅ……、ん、ぺろ、ぇろれろれろれろっ」 「ちろ、ちろ、ふ……ちゅっ、ふ、ぺろぺろぺろぺろぺろ、ちゅっ」 「ちゅ、く、く……、ん、ちゅぶぶぶぶっ、ちゅぱ、はぁ」 「ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、……れる、れる、くぶ、ちゅむっ」 「……ん……」 この人が初めて声とも言えない音を発し、小さく身動ぎした。 流石に音を立てると安眠妨害になるらしい。 だがまだ大丈夫だ。 追撃を行う。 「……ん、じゅる、ちゅるちゅるちゅる、ちゅくっ、はぅ……」 「ちゅっ、ん、ちゅっ、……はぁ、ちる、ちゅくちゅく、ぺろぺろぺろ、ぇろ……」 「はあ……、ちゅ、ちゅぷぷぷぷっ、ふぅ……、ちろろろろっ」 「ちゅるるっ、ちゅぷっ、……はあ……」 「……ふーっ、ふーっ、……うふっ、ちゅぷ、ちゅぷっ、ちゅっ」 「ちゅくちゅるちゅるちゅる、んぶぶ、ちゅぶっ、ん……」 「はあ、はあ……」 その耳は、私の執拗な攻撃によって てらてらと卑猥に汚れていた。 ――これを、私が…… ―― 拙い。 ただこの人の耳に悪戯していただけなのに、勝手に私の身体が、下腹部が、熱く……。 見えない糸で上から操られるように起き上がってこの人の下腹部に跨り……。 ……あら? 「え……硬い……?」 起きているのかと提督の顔を見やったが、目は開いていない。 しかし、殆ど光がない中よく見ると、眉間に力が入っていてどことなく苦しそうな……。 「うう……ん……」 「……ふふっ」 寝ながらでも感じる事はできるんですねえ。 私の大事な場所を下着越しでこの人のアレにズボン越しで擦り付ける。 目を閉じたままで、ここをこんなにするなんて。 まして耳を悪戯していただけなのに。 この人って、本当に好き者だなあ。 私の事など棚に上げてふわふわした頭でそんな事を考えながら、腰を前後に動かし始める。 「んっ、……ぁ、あっ」 やっぱり互いが布で覆われたままだからか、刺激はそれほど強くない。 それでも何も感じないと言うと、それもまた嘘になるのだった。 「ん……、ん、んん……」 身も蓋もなく言ってしまえば、こうデリケートな場所は敏感だから物問わず擦れば反応してしまうし、 この場合だとこうでもやんわりとこの人の熱は伝わるから悪くない。 寧ろ、これくらいだと自分を焦らす事ができて、 私の中の熱が必死に行き場を探す渦潮のようになっていって、下腹部が次第に湿り気を帯びてくる。 「ふっ、ふぅ、っ、ぁ、あ……」 「あぅ、っ、んん、んふっ……」 しかも構造上、それが液化して降りてきてしまえば漏水を止める手立て等ない。 その為に下着という装甲があるのかもしれないけど、 それもまた耐久性と耐水性は高くなく、結局は何の意味も為さなかった。 それならこの行為を止めればいいのだろうけど、 戦意高揚状態の上で私の蕩けた辞書から"止める"なんて語句は消滅している。 それだけでなく、この人が重苦しい喘ぎ声を漏らし、顔をどんどん険しくしていく様を、 しかもこの跨った姿勢から見下ろしていては……。 「っ、く……」 ――私、この人を犯してる―― なんて無防備だろう。 冬のあの日私が初めて夜這いを仕掛けた時は、この人の局部を晒して直接刺激を与えるまで起きなかったけど、 今日もかなり続いている。 こうして跨って前後に擦り付けても起きないのならば……。 「はあ、……っ」 いよいよ無遠慮になった私は、提督の上体に同じ物を重ねるようにして転覆した。 提督の両肩に両手を添え、完全にこの人を覆ってしまう。 私の身体にこの人の鼓動が送られてくる。 それはもう私の絶好調な缶に負けないくらい回転しているのが分かる。 この人の心臓の音を感じるのが私はとても好きだ。 純粋に温かいから、というのも理由の一つだけど、 この人の内側の変化が一番大きく現れる部分だから、という邪な理由もある。 この人の事は細部や奥深くまで知りたい。 これだけでも結構速く動いているが、もっと速める事は出来るのか。 「行きますよぉ……、ん、んっ、ふっ、ふぁっ」 がくがく、と布団ごとこの人の身体が動きそうになるくらいの勢いで艦体を揺らす。 ここまで来るともうこの人が起きるか起きないかの疑問は、遥か後方まで置いてけぼりになっていた。 というか、そんなみみっちい疑問なんてもう雷撃処分でとうに沈んでいる。 夜戦馬鹿という事じゃないけど、 夜戦になると必然的に戦意が上がる私の性質は誰にも、自分にも止められない。 「ふぁ、ぁあ、ああああっ」 焦らしが効き、私はどんどん油を漏らす。 それがこの人の下腹部を汚す。 気持ちいい。気持ちいい。 「あぅ、はああ、提督、提督……!」 ――大規模作戦艦隊旗艦を務めて報酬があいすくりんだけなんて、割に合う訳ないじゃない……! ―― 「提督、提督、もっとぉ……っ!」 欲望が、私の缶を加速させ、暴発に向かって熱を上げさせる。 この人の心臓も、文句の一つでも言いたげに大きく速く私の身体を叩く。 私の大事な場所が擦れ、この人は私に滅茶苦茶にされる。 「はぅ、ぁあああ、提督、ていとくぅ……っ!」 「ふあ! ああっ! ……~~~~っ!!」 この人の身体と重なり合って果てた時、 とうとう暴発した私の缶は大きな脈打ちを最後に機能を暫し停止する。 歯を食いしばってあまり大きな声は上げないように努めるも、歯の隙間から声が漏れてしまっていた。 「っ、はあ、はあ、はあ……、はあぁぁ……」 荒い息を整えようと、必死に酸素を取り込む。 気が付けば、窓の外の空は若干蒼く染まっていた。 それでもまだ、この人は多少息は荒いものの起きていないようだった。 「……マルゴ、マルマル……。起きないなら私、先に行きますよ……」 さて、この後始末をしてから今日の任務通達の受け取りを……。 がばっ! 「!?」 え、何!? 起き上がろうとしたら急に背中を押さえられて……! 「大井ぃ……」 下のこの人が呻くように私を呼び……。 気付けば私は布団に押さえつけられ、さっきまでのこの人のような姿勢にされていた。 「あの……、いつから起きて」 「耳を舐められた時だけでも驚いたのに、まさか私を玩具にするとはね」 大分前から起きていたらしい。 狸寝入りなんかしなくていいのに。 この人は不敵に笑って私を見下ろす。 もう明るくなってきたが、終わっていたと思っていた夜戦はまだ続いているようだった。 戦況も逆転されたかもしれない。 「疲れていたとは言え、放ったらかして悪かったよ……。だから今の続き、どうだ?」 「……っふふ」 「もうこんな時間ですから、一回だけですよ?」 ――だから、一回のうちに満足させてくださいね―― 勿論、行為が一回で済む事はなかった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/